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「まるやまかわ」と記されている円山大橋の橋名板=豊岡市九日市下町
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「まるやまかわ」と記されている円山大橋の橋名板=豊岡市九日市下町

 但馬地方を潤す1級河川、円山川に沿った国道を車で走っていて、橋の欄干が目に留まった。河川名が彫り込まれているが、見ると「まるやまかわ」になっている。呼び名は「まるやまがわ」が一般的なはずだ。なぜ、濁点がないのか。(那谷享平)

 豊岡市内を走る国道426号の円山大橋。西側の欄干には、確かに平仮名で「まるやまかわ」とある。

 国土交通省近畿地方整備局河川計画課によると、国が作成した河川台帳に記された正式な読み方は「まるやまがわ」。同橋を管理する兵庫県豊岡土木事務所に聞いたが、「15年以上前に建てられた橋なので、詳細な経緯は分からない」と言う。

 兵庫県香美町香住区の一日市(ひといち)橋では、香住谷川が「かすみたにかわ」と表記されていた。だが、県新温泉土木事務所や香美町によると、「かすみだにがわ」と呼ぶことが多い。

 県河川整備課に聞いてみると、担当者から貴重な証言を得た。

 「『濁点があると川が濁ると考えるため』というのが通説。濁った水は水害などを連想させる。氾濫しないように-と濁点を外す慣習は、全国的にあるようだ」

 橋の名前を「はし」と濁点抜きで記す例もある。神戸市東灘区を走る国道2号の住吉橋は、欄干の東端にある親柱に「すみよ志はし」と彫られていた。濁点がないだけでなく、平仮名の「し」から「死」を連想するのを避けるためか「志」に変えており、こちらも縁起を担いだのだろう。

 橋や河川の名前を書いた板は「橋名板(きょうめいばん)」と呼ばれる。県道路街路課などによると、橋を命名する際に地元市町と調整するとの規定があり、地域に浸透した河川の通称を橋の名前に使う場合もある。

 橋名板に関しては、県は河川と橋の名前を漢字と平仮名で4カ所に記すよう「土木工事共通仕様書」で定めているが、読み方までは指示していない。濁点の有無は、建設した自治体が判断するとみられる。

 各地の行政機関に聞いたところ、濁点がないのは治水への願いからという説は、橋や河川の整備に長く関わってきた自治体職員の間では知られた説のようだ。だが今回、若手職員を中心に「言われてみれば…」「初めて聞いた」との反応も。県養父土木事務所のベテラン職員は「最近は橋の新設工事が減り、職員が橋名板を意識することが減ったのではないか」と推測する。

 この先、理由を知る人が少なくなれば、濁点のない橋名板は減っていくのだろうか。

表示ルール化の自治体も

 全国的には、橋名板の平仮名表示についてルール化している自治体もある。

 奈良県の仕様書には「橋名板で『かわ』『はし』には、濁音を付けないのを標準とする」とある。経緯は不明というが、同県技術管理課の担当者は「県の仕様書は普通、国に準じて作る。今の国の仕様書には濁点に関する記述がないが、かつてはあったのかもしれない」とみる。

 一方、横浜市でも「理由は縁起を担いだなど諸説あるものの、伝統的に『はし』と表示する場合が多い」(道路局建設部橋梁(きょうりょう)課)と指摘。橋に関わる歴史や伝統、文化を大事にしていこうという観点から、2005年度になって表示を「はし」とするよう内部で決めたという。

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