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神戸ゆかりの文化人たちが描いた畳1枚ほどのサイズの壁画。小磯良平氏が描いた女性の横顔(右上隅)などが並ぶ=2015年12月、アカデミーバー(撮影・後藤亮平)
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神戸ゆかりの文化人たちが描いた畳1枚ほどのサイズの壁画。小磯良平氏が描いた女性の横顔(右上隅)などが並ぶ=2015年12月、アカデミーバー(撮影・後藤亮平)
壁面に生い茂るツタが特徴的なバーの外観=2015年12月、アカデミーバー(撮影・後藤亮平)
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壁面に生い茂るツタが特徴的なバーの外観=2015年12月、アカデミーバー(撮影・後藤亮平)

 大正時代の創業で、文豪谷崎潤一郎氏や画家小磯良平氏らに愛された神戸市中央区布引町2の老舗バー「アカデミーバー」が近く取り壊されることが20日、分かった。神戸で現存最古ともされるバーで、店内には小磯や詩人竹中郁(いく)、画家津高和一の各氏ら神戸ゆかりの文化人16人が寄せ描きした壁画があり、このほど取り外された。神戸の文化史を伝える貴重な遺産として、一般公開などの道を探る。(堀井正純)

 同店は1922(大正11)年、同市灘区に当時あった関西学院前で開業。36年ごろ三宮に移転し、戦後間もなく現在地へ移った。戦前は谷崎氏や作家佐藤春夫氏が常連で、戦後も画家や文学者らが集うサロンになり、陳舜臣氏や司馬遼太郎氏も顔を見せた。

 95年1月の阪神・淡路大震災で木造の建物は傾き全壊判定を受けたが、補修し、同年7月に営業を再開。店内は丸太を生かした山小屋風のデザインで親しまれたが、近年、周辺一帯で再開発計画などが進み、店の立ち退き・解体が決まった。店は昨年12月末で営業を休止した。

 壁画は店内の白漆喰(しっくい)の壁に48年ごろから数年かけ描かれたもので縦108センチ、横185センチ。震災で一部傷んでいる。調査したことがある「神戸ゆかりの美術館」(同市東灘区)の元学芸員田中梨枝子さんによると、壁画は店主の発案で、戦後ばらばらになった仲間の無事を確認するため、訪れた画家たちが絵を残していけるようにと設けられたという。

 右上に小磯氏が女性の横顔を、中央に竹中氏がこうもり傘を描き、画家田村孝之介(こうのすけ)氏、小松益喜(ますき)氏らも筆を執っている。田中さんは「グループや団体を超えた、戦後間もない時期の美術家たちの交流の跡をしのばせる貴重な資料」と評価する。

 半世紀前に父親から同店を継いだ店主の杉本紀夫さん(76)は「小学生時代、壁画制作の様子もこの目で見た。今後、多くの人に見てもらえる機会があればうれしい」といい、店については「移転先などは決まっておらず、しばらく休みたい」と話している。

【壁画は神戸の文化的遺産】

 神戸の文化に詳しい「BBプラザ美術館」(神戸市灘区)の坂上義太郎顧問の話 モダン都市神戸の薫りをとどめるバーで、よき時代の郷愁をいざなってくれた。店がなくなるのは残念だが、神戸の文化的遺産といえる壁画の保存公開を期待したい。

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