(掲載日:2002/02/22)

3.勝手に流れる個人情報 日常茶飯事の不始末は 企業の認識の甘さが問題

 「早く見ないと消えちゃうよ・超マヌケ企業」

 一昨年十一月、週末の午前三時十七分。インターネットの掲示板にこんな名前の掲示板が立った。最初の書き込みには、あるURL(ネット上の住所)が記されていた。

 そこには、ある企業の就職者・志望者百十五人分のリストがあった。住所・氏名・年齢・学歴・職歴・電話番号・メールアドレス・取得資格・自己アピールまでが掲載され、だれでも閲覧できる状態になっていた。

 「これってニュースになるような大問題じゃない?」「見ても犯罪じゃないの?」「はだかで外歩いてる人を見ても、プライバシー侵害にはならんでしょ」

 掲示板の書き込み数は急増し、午前八時には五百を超える。通報を受けた企業は午前九時半ごろ、ようやくサーバーを停止。この間、延べ千九百六十七人がリストにアクセスしていた。

■回収のめどなし

 なぜこんなことが起きたのか。企業側が「記録がないので原因が分からない」と逃げる以上、真相は薮(やぶ)の中だが、状況を放置したシステム管理者の認識の甘さの結果であることは否定できない。リストはネットに出回り、現在も回収のめどが立たない。

 だが同じような経緯で個人情報を流出させたのは、この企業に限らない。作業ミスで、メールの送信者リストが特定の人に誤送信されたという事件も、日常茶飯事のように起きている。

■氷山の一角

 複数の企業の顧問を務める弁護士は「表面化した事件は、氷山の一角に過ぎない。知識のない担当者が、玄関には厳重にカギを掛けていながら、大事な物を外に置くようなことを簡単にやってしまう」と話す。

 また企業のホームページの作成・管理を請け負う業者の一人は、こう打ち明ける。

 「人間がやることだから、ミスもある。完ぺきにやればコストが掛かるから、みんなスレスレのところで作業をしている。同業者間で『実はこんなヤバイことがあって』などと話すこともある」

 そんな危うさの上に、私たちのプライバシーはある。


Copyright(C) 2002 The Kobe Shimbun All Rights Reserved