たばこ販売 自販機依存に包囲網

   2001/10/24

 青森県西部の深浦町が、たばこ自動販売機の屋外設置を禁じる全国初の条例を施行して半年余りが過ぎた。未成年者の喫煙を助長する自販機を街角から一掃する先進的な試みだが、撤去は2割程度にとどまっている。業界側が「死活問題」と猛反発したためだったが、町側も一歩も引かない姿勢だ。取り組みを知った“規制派”の市民有志が連携し、9月から各地で自販機の実態調査も開始。たばこの「売り方」が議論されている。 (東京支社 森本一徳)

規制派「未成年喫煙の"元凶"」/業界側「死活問題」猛反発

 条例は四月に施行。たばこや酒類、有害図書を扱う屋外自販機を全面禁止するもので、既存の自販機は百八十日以内に撤去するよう定めた。平沢敬義町長(54)は「対面販売に切り替えれば未成年の喫煙も防げるし、商店街の活性化にもつながる」と自信を見せた。

 ところが、たばこ自販機三十六台のうち、撤去または店内に移設されたのは、期限の九月末時点で八台だけだった。

 町内のたばこ業者が「売り上げ減少につながる」と強く抵抗したことが背景にある。売り上げの半分以上を自販機に頼る販売店もある。全国たばこ販売協同組合連合会も、「自販機は日本の伝統的な商文化。売り手と買い手の双方にとって便利で不可欠な販売手段」とし、町と真っ向から争う構えを示した。

 平沢町長は「愛煙家は自販機がなくても買うから、売り上げは大きく減らないはず」と反論。「売り上げの心配よりも、自販機を通して未成年者にたばこを売っている現状を反省してほしい。撤去に協力してもらえるまで何度でも足を運びたい」。

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 日本自動販売機工業会によると、国内のたばこ自販機は六十二万五千九百台(昨年末現在)で、販売店総数の二倍。米国の約十万台と比べて日本とドイツ(約八十万台)がずば抜けて多いのは、治安がいいことも関係しているようだ。

 旧厚生省は九八年度の調査で、未成年喫煙者が九十万人以上と推計。たばこ事業を管轄する財務省は八九年七月から、未成年者の喫煙抑止を徹底するため、店舗に併設しない自販機の設置は許可していない。だが、それ以前の自販機は管理が不十分なままだ。

 九六年度からたばこ業界も、午後十一時から午前五時まで自販機を稼働させないようにした。しかし九四年度の旧総務庁調査で、未成年者がよくたばこを買う時間帯は「午後五―十一時」だったことから、お手盛りの自主規制といえる。

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 「自販機対策に本腰を入れさせるには、違法な自販機を自分で調べるしかない」。喫煙と健康女性会議(東京)代表の仲野暢子さん(68)は九月、兵庫や大阪、鳥取など各地の仲間とともに実態調査をスタートさせた。「未成年者喫煙の“元凶”である自販機の実態を行政に訴え、深浦町の後押しができれば」と意気込む。

 兵庫県喫煙問題研究会事務局の山岡雅顕さん(39)も、洲本市内の調査に当たった。屋外自販機は百四十七台あり、すべて店内から監視が行き届かない場所だった、という。

 WHO(世界保健機関)が二年前に開催した「たばこと健康に関するWHO神戸国際会議」の神戸宣言では、「たばこの自販機は世界的に禁止されるべき」と強くアピールした。自販機依存のたばこの販売手法に包囲網が迫っている。


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