新快速、福井県まで延伸 観光地で皮算用

   2006/10/24

 JR西日本は二十一日のダイヤ改正で新快速の運転区間を敦賀(福井県敦賀市)まで延伸した。西端の播州赤穂駅(赤穂市)から二府三県、約二百五十キロを走破する=図。「京阪神など都市部から日帰り旅行圏内の観光地に」―。“新快速効果”に期待を寄せる沿線自治体は、住民主体のまちおこしも合わせて、観光地の魅力アップへ知恵を絞る。(姫路支社・松本茂祥)

赤穂市、集客上積み期待/イベント次々魅力発信

「ようこそ赤穂へ」。義士にふんした市民劇団員が観光客を出迎える。官民一体での魅力づくりが進む=赤穂市、JR播州赤穂駅

 播州赤穂駅には二〇〇五年三月から、昼間に毎時一本、新快速が発着する。

 同駅の一日平均乗車人員はピークの一九九九年度、四千百十四人を記録した。NHK大河ドラマ「元禄繚(りょう)乱(らん)」放映に伴う観光ブームだったが、その後は減少の一途に。二〇〇三年度には三千五百九十人に落ち込んでいた。

 朝夕の通勤時間帯に数本の新快速が発着するだけだったのが、増便後の〇五年度は、前年度比4%増の三千八百十二人に。本年度もこれを上回る勢いで利用客を取り戻している。

 「忠臣蔵だけでは地盤沈下は避けられない。赤穂の観光を考え直す分岐点に来ていた」。赤穂市の岡島三郎・企画振興部長は振り返る。

■相乗効果を

 〇四年度、同市は中心市街地の活性化に役立つアイデアを市民から募り始めた。観光地活性化へ「赤穂観光アクションプログラム」もつくった。

 その結果、踊りの祭典「赤穂でえしょん祭り」や、特産市「赤穂五万三千石ふるさと市」など市民主体の集客イベントが次々に実現した。

 新快速増便との相乗効果も。坂越地区の住民が設けた散策コースはJR西日本が企画した「駅からはじまるハイキング」の人気ランキング三位に入った。

 岡島部長は「観光には仕掛けが必要。今後も官民挙げての新しい魅力づくりや発信がどれだけできるかがカギ」と話す。

■熱視線

 東の終点だった長浜駅(滋賀県長浜市)。新快速の乗り入れが始まった九一年以降、乗車人員は増え続けている。〇五年度は乗り入れ前と比べ倍増。半数は観光客だ。

 ここでも市民主導のまちづくりが新快速延伸と連動。ガラスをテーマに古い建物を駅前によみがえらせた「黒壁スクエア」には年間三百万人が訪れ、まちおこしの成功例として注目を集める。

 長浜市駅舎整備推進室は「都市部に人口が流出するストロー現象を懸念する声はあったが、逆に京阪神への通勤・通学が便利になり、定住人口も増えた」と、延伸効果を実感している。

 効果をより北へと、福井県や滋賀県、敦賀市など沿線自治体はJRに延伸を要望。電流を交流から直流に切り替える工事費などを一部負担し、延伸が実現した。

 延伸なった敦賀市は、今年八月から敦賀観光協会を主体に「遊(ゆう)敦(とん)塾(じゅく)」を始めた。自然や歴史、文化などを知ってもらおうと多様な観光コースを設定。観光客を「塾生」として募り、交流人口の拡大を目指す。

 「北陸の観光は海水浴など夏場中心のイメージだったが、新快速延伸を機に、四季を通じて楽しんでほしい」と同市商工観光課。年間五万人の観光客増を見込む。

 新快速延伸は、地域間競争も促す。三ノ宮や大阪駅で毎日、放送で「敦賀行き」などと流れるアナウンス効果は絶大。滋賀県や長浜市は「長浜方面敦賀行きと放送して」とJRに要望した。

 赤穂市は〇四年度、赤穂線沿線の自治体や観光協会などと地域活性化連絡会議を設置。瀬戸内海のカキをPRする「かきまつり」のリレーイベントを今冬も予定する。

 「利用客増はまだ予想の範囲内。今後も新快速の増便を要望し続けたい」と岡島部長。四千人台回復へ、正念場が続く。


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