フランチャイズチェーン 起業急増、法整備を

   2006/12/13

 コンビニエンスストアに代表されるフランチャイズチェーン(FC)の右肩上がりの成長が続いている。小売りや外食業、サービス業など多彩な分野に広がる一方、本部と加盟店の間で契約をめぐるトラブルも絶えない。「団塊の世代」が大量に退職する二〇〇七年以降、起業を目指す人が急増するとの指摘もあり、加盟店側からは、トラブルを防ぐ法整備を求める声が上がっている。(東京支社・足立 聡)

契約トラブル続出 「団塊」参入広がる懸念

東京で開かれた「フランチャイズビジネス展」。商品販売の実演も行われ、出展希望者らが多く集まった=東京都千代田区丸の内3、東京国際フォーラム

 焼き肉にシュークリーム、宅配すし、古着、インターネットカフェ、学習塾…。さまざまな店の看板やのぼりが会場を彩る。十一月に東京で開かれた「フランチャイズビジネス展」。FC本部と起業したい人との“出会い”の場で、八十社以上が出展した。ある飲食チェーンの担当者は「これを機に全国に展開したい」と意気込む。

■光と影

 店舗数二十三万店、売上高十九兆円。FCビジネスはこの十年間で三割以上も成長した。大手FC本部などでつくる日本フランチャイズチェーン協会(FC協会)の海江田哲専務理事は「多様なチェーン方式の中で、最も伸びたのがFC。中小小売業の近代化にも寄与した」と胸を張る。

 ただ、FCの急増に伴い、「本部の売り上げ予測が過大」「ロイヤルティー(商標などの使用料)が高額」といった訴訟が本部を相手取って続発する。その大半が、本部の不十分な説明に起因していた。加盟店オーナーでつくる全国FC加盟店協会(加盟店協会)によると、九八年から二〇〇〇年にかけて毎年約千件の相談が寄せられたという。

■高額な違約金

 相次ぐトラブルを受けて〇二年、FCを対象とする中小小売商業振興法が改正され、本部が事前に情報を開示すべき項目が拡充された。公正取引委員会も問題となる取引をガイドラインで公表。「法改正以降、トラブルは減っている」と経済産業省流通政策課は話す。

 しかし加盟店協会の植田忠義事務局長は「最近また相談が増えてきている」と反論する。特に目立つのは「違約金のトラブル」という。

 例えばある健康食品チェーンの加盟店オーナーは、本部の商品の種類が少ないため別ルートから商品を仕入れたところ、一品につき百万円、計約二億円もの違約金を請求された。事前に違約金の説明はなかった。公取委の注意もあって支払わずに済んだが、店は閉店。開業前に払った保証金はまだ戻ってきていない。

 また、FC契約を途中で解約したときの高額な違約金の問題も、依然多い。植田事務局長は「違約金条項は加盟店に不利な内容が多い。大半のチェーン加盟店は泣き寝入りしている」と話す。

■2007年問題

 本部の側にも、トラブルを減らそうと加盟店との対話に取り組む社もあるが、まだ一部。情報開示の自主基準の策定・公開を会員に求めているFC協会への加入率も、24%にとどまっている。

 加盟店協会の竹中一雄会長は「だれでもすぐにFC本部になれるのが問題。FC事業を登録制にするなど法整備が必要」と主張する。加えて、サービス業は中小小売商業振興法の対象外となっており、同協会はサービス業を含む包括的なFC法の制定を求めている。

 しかし、「過度に規制すれば、中小企業の参入やFCの成長の芽をつぶす」(FC協会の海江田専務理事)との意見も。経産省も「規制で縛るよりも、現行法の運用で対応したい」とする。

 竹中会長が危ぐするのは「二〇〇七年問題」だ。加盟店オーナーには脱サラした人や定年退職者も少なくなく、「今後、多くの定年退職者が難解な契約を十分に理解しないまま加盟する可能性がある。トラブルを未然に防ぐ公的な仕組みが必要だ」と訴えている。

 フランチャイズチェーン 本部が加盟店と契約を結び、同じ商標や看板を用いて商品やサービスを販売する権利を与え、その見返りとなる対価を加盟店から得る関係をフランチャイズといい、その関係で結ばれた事業者の集団のこと。本部は経営のノウハウなどを指導・援助し、加盟店は自己責任で必要な資金を投じて経営する。

Copyright(C) 2006 The Kobe Shimbun All Rights Reserved.