広がる看護師2交代制

   2007/05/17

 二十四時間診療している兵庫県内の病院で、看護師の勤務を一日三回交代する「三交代制」から、一日二回交代の「二交代制」に移行させる動きが広がっている。三交代は、労働時間短縮を目指す労働者側が勝ち取った権利だったが、「勤務の種類が多く、体が慣れない」「出勤回数が増える」など、敬遠する声も多い。看護師を手厚く配置した病院に診療報酬を加算する「七対一基準」の導入で、看護師確保が難しくなっている中、「待遇改善策」としても二交代が定着しつつある。(社会部・田中伸明、今泉欣也)

県内の24時間診療病院/現場に3交代敬遠の声、人員確保策にも

日勤から夜勤へ。患者の病状などを引き継ぐ看護師ら=神戸市中央区北長狭通四、パルモア病院

 神戸大付属病院(神戸市中央区)は、昨年十一月から二交代制を試行し、現在は二十一病棟中十六病棟で実施。100%三交代制を敷くのは集中治療室(ICU)など五病棟だが、七月までにほとんどが二交代を取り入れる予定だ。

 同病院では、七対一基準を満たすため、今春の看護師採用を前年より約百人増やした。採用試験の際、受験者から「学校で二交代の方が楽だと教わった」との指摘もあったという。

 同病院の夜勤は、二交代の場合が午後三時半から十八時間(休憩二時間含む)。三交代は、準夜勤が午後四時から、深夜勤が午前零時十五分から、それぞれ八時間四十五分となっている。

 大島敏子看護部長兼副院長は「三交代は深夜に勤務の交代があるため、出勤、帰宅中の看護師が犯罪に巻き込まれる危険があった。看護師の安全を守るため、二交代は念願だった」と話す。

 国立病院機構姫路医療センター(旧国立姫路病院)でも二〇〇五年から一部病棟で導入。川端義雄事務部長は「若い世代や、子育て中の看護師に好評」と話す。

■患者のメリット

 周産期医療がメーンのパルモア病院(神戸市中央区)は約二十年前から二交代を実施。深夜の分娩(ぶんべん)も多いため、夜間の体制を充実させる目的だったという。

 空田真知子看護部長は「深夜に交代がある三交代に比べ、二交代は就寝時と起床時の担当者が同じ。病状のチェックも継続的にできる」と、患者のメリットを強調する。

 看護師の就職紹介をしている兵庫県ナースセンターに登録する百五十病院のうち、二交代の実施は四割強の六十五施設。中堅以上の規模の病院では、依然として三交代が根強い。

 神鋼病院(神戸市中央区)は「三交代は長年の慣習のようなもの。二交代の希望もあるが、多数ではない。二交代では仮眠が必要だが、場所の確保も難しい」とする。

■反対する労組も

 二交代制は一九九二年、厚生省(当時)が容認。同省が九五年ごろ、国立病院での導入を始めたことから、官民の病院で広がった。

 こうした動きを危ぶむ声もある。日本医療労働組合連合会(医労連)は、二交代に一貫して反対してきた。医労連・看護闘争委員会の井上久事務局長は「厳しい労働の中で仮眠できる保証もなく、看護師の健康や患者の安全に影響が出る」と指摘する。

 神戸大では、外科など急性期の患者を受け持つ病棟でも二交代を実施。看護師が休憩を取りやすくするため、病棟近くに休憩室を新設した。

 大島看護部長兼副院長は「勤務の選択肢を確保するため、三交代の希望が多い部署では残すつもり。しかし、予想以上に二交代勤務の希望が多いのが実情」としている。


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