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須磨連続児童殺傷から10年 関係者に聞く |
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| 2007/06/02
開かれた少年司法の実現を 元神戸家裁判事 井垣康弘弁護士
日本の刑事制度で見えないのは、一つは警察の取り調べ。もう一つが刑の執行状況だ。裁判だけ公開するが、矯正施設で加害者がどう更生していくのか、誰も説明できない。少年院も同じ。非行少年は社会から隠れて教育を受け、社会に出る。いい加減な制度に慣らされていると思う。 ただ須磨事件が起き、本当にそれでいいのかと、考えるようになった。加害少年は中学生で、突然二人を殺害した。世間の母親たちは子どもに不安感を持ち、子どもを産むことが怖いと言った。 私はこの事件を扱い、国民が何の情報も得られないのは、あちこちで不安感が生まれ、少年司法制度の崩壊につながると思った。今後、加害少年が更生し、社会で立派に生きていくためにも、必要かつ十分な限度で社会に情報を提供し続けなければいけないと考えた。 また事件後、これまで放置されてきた犯罪被害者支援に目が向き始めた。被害者が裁判に参加する制度など、取り入れるべきだ。私自身、審判で被害者の姿が見えないことには、違和感を持っていた。現行法でも、少年の健全育成に役立つと思えば、判事が被害者を裁判に参加させることができるので、数例実施してきた。 加害者側から言えば、迷惑を掛けた被害者に、少年と親が直接謝罪することは、非常に得難い教育的な経験になる。少年は、自分と一緒に頭を下げる親の姿を見て、申し訳なく、そしてありがたいと思う。また被害者からもいろんな感動を受ける。これまで家裁が、そうした被害者対応を推進してこなかったことは失態だ。 被害者に関しては、補償の問題も大きい。殺人事件などが起きた場合、特に少年事件では、加害者に賠償を求めるのは難しい。そのため、厳罰要求の部分が前に出て、賠償の話は後回しになっている。 犯罪被害者の経済的な補償を国が行う制度が必要だ。誰も反対しないだろうし、ぜひ実現させるべきだ。 「情報公開」と「更生」に葛藤 元関東医療少年院長 杉本研士氏
初めて(須磨事件の)加害男性に会ったときの印象は、疲れ果てた様子で、緊張し警戒気味。診断は「行為障害」だった。この障害の少年は、共通して幼いときに学び損ねたものがある。子育てにその原因がある。 子どもは、家庭のさまざまな問題や刺激を活用して五感を発達させる。しかし、今の日本の子育てでは、家の手伝いをさせない。テレビ、パソコン、携帯電話を与えて、あとは勉強。その結果、息も絶え絶えで、どこか壊れた子どもができる。 少年院ではその学び損ねたものについて、共に考え、検討する。子どもは変わることを恐れ、抵抗するが、職員も命がけでせめぎ合いを続け、信頼関係を築く。そうして「人は誰でも学んで変わることができる」という考え方につなげる。「育て直し」は可能だ。 家族関係に問題があると、子どもに大きな影響を与える。親の酒乱、子への無関心、親が暴力団関係者―。加害男性も成育上、両親との関係にねじれがあり、それが強い攻撃性につながった。 家族との関係修復は、矯正教育でとても大切だ。少年院には、家族も泊まって教育する家庭寮がある。家族が一晩泊まって一緒に話し合う。少年に変化はなくても、親兄弟が協力的になるなど、効果が出ている。 今、求められているのは退院後のサポートだ。官と離れ、民間のボランティアによる支援を充実させる必要がある。被害者への償いを念頭に置きながら、少年と被害者の間に立ち、秘密を守りながら支援する。少年の社会復帰には欠かせない。 その際、少年に関する情報公開が問題になる。更生への影響を考え、個人情報は公開すべきでないと思うが、被害者の立場を考えると、説明はすべきと思う。矯正施設でも守秘義務と説明義務とのはざ間で葛藤(かっとう)がある。 難しい問題だが、仮退院時での遺族への説明など、事例を積み上げていくしかない。被害者に、ある程度秘密を保持してもらえば、説明方法や内容を固めて、運用できるのではないか。 [ NEWS&ニュースTOP ] |
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