公立病院、産科医不足に打開策 市立伊丹病院

2007/09/08

 深刻な医師不足を背景に公立病院で産科の廃止や休止が相次ぐ中、少しでも多くの出産を扱おうと、市立伊丹病院(同市昆陽池一)が本年度から始めた「院内助産」が注目を集めている。正常分娩(ぶんべん)に限り、助産師だけで出産を介助するシステムで、分娩台も使わず、「自然なお産」ができるのが特徴だ。7月末までに2人の妊婦が無事出産、年内の予約も10人を数える。同病院の取り組みを追った。(鎌田倫子)

「自然なお産」助産師が担当/緊急時は医師が対応

フローリングの床に布団が敷かれた分娩室=伊丹市昆陽池1

 川西市の主婦(31)は七月末、伊丹病院の院内助産で二男を出産した。お産は三度目。過去二回はいずれも医師立ち会いのもとでの出産。初めてのお産では「機械の音しか聞こえず、分娩台の上で不安感が募った」という。

 今回は違った。六畳ほどのフローリングの個室に敷かれた布団の上で、好きな体勢での出産。まるで自宅にいるようなリラックスした雰囲気だった。小学四年の長女(9つ)は、そばで母親のお産を見守った。まだへその緒がついた生まれたばかりの弟を抱き、「一つの命をつくるのってこんな感じなのかなって思った」。

 新臨床医研修制度導入の影響や、なり手そのものが減っていることから、公立病院での産科医不足は深刻化する一方。県医務課によると、県内では今年一月までに、二つの公立病院で産科を廃止した。ほかに市立西宮病院をはじめ少なくとも五つの公立病院で休止に追い込まれている。先日も市立宝塚病院が来年度からの休診方針を明らかにした。

 窮状は伊丹病院も同様だ。昨年六月、一人が退職、産科の勤務医が三人となり、分娩の予約に月二十人の制限を設けた。院内助産導入への取り組みはその時、すでに始まっていた。

 助産師らが計画案を練り、同年十月には病院側に提出。看護部、医事課、産科医、小児科医も加わってプロジェクトチームを発足させ、助産師らは神戸市内の民間病院で研修を受けるとともに、勤務時間外に開業助産師のもとに通うなどして準備を進めた。

 「突然、勤務医が派遣元の大学病院などに引き揚げられるといった事態に備えていなければ、休診などで利用者に迷惑がかかる。これまで培った技術や経験を何とか生かしたかった」と助産師主任の杉本文子さん(44)は話す。

 院内助産にかかわるのは、計十一人。「母子の安全」を最優先に掲げ、過去に帝王切開や子宮の手術を受けていない▽甲状腺疾患など合併症がない▽胎児の心拍数が正常範囲―などの基準も設けた。

 助産師だけでの出産介助でも、例えば分娩中に大量出血すれば産科の医師が対応。同じフロアに新生児集中治療室(NICU)があり、看護師も新生児の様子を逐一チェックできるなど総合病院ならではのバックアップ体制を取っている。

 また、院内助産によるお産は月十人と限定。助産師で看護師長の永松成子さん(44)は「扱えるお産の数を急に増やせるわけではないが、病院の現状を踏まえ、一つ一つのお産にしっかりと目が行き届くように体制を整えた」と話している。


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