5.使命感(2004/08/05)
 
 
国際レスキューシステム研究機構 急こう配も平気

傾斜に強い「IRS蒼竜」。カメラを積み、送られてくる映像を基に遠隔操作する=いずれも神戸市中央区港島南町、国際レスキューシステム研究機構倒壊家屋実験施設

 三角屋根の風変わりな建物が七月末、神戸ポートアイランドの空き地に現れた。

 看板には「倒壊家屋実験施設」。災害救助ロボットの開発に当たるNPO法人「国際レスキューシステム研究機構」が建てた。中に入ると、ガレキと化した一軒家。マネキン人形が柱の下敷きになっている。

 ゴトゴト…。キャタピラがついた三連のロボットが、家の中へ入っていった。カメラを備えた探査ロボ「IRS蒼竜(そうりゆう)」。

 改良を重ね、人間の関節にあたる接続部が四十五度曲がるようにした。急こう配でも頭をひょいと持ち上げ、軽々と越えていく。数分後、マネキンを探し当てた。

 「現場でロボットがどう動くのか、研究者が体感できる貴重な場」と同機構会長の田所諭・神戸大助教授(44)。自身も神戸で震災を経験した。
開所したばかりの実験施設。研究者がロボットを持ち込み、改良点を探る

 同機構は二〇〇二年、田所さんの呼びかけで設立された。震災時、救助の仕方次第でもっと多くの人が助かったのでは―との思いからだ。全国から、使命感を持つ研究者が集まった。

 被災地に「体感の場」

 拠点は神戸と川崎市の二カ所。文部科学省の「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」に指定され、百人以上が九つのテーマで救助ロボや関連技術の開発に取り組む。

 例えば、空飛ぶレスキューロボ。小型無人ヘリで、上空から被災状況を調べ、即座に三次元の地図をつくる。道路の段差やがれきの高さなどが分かり、避難や救助活動に活用できる。

 〇五年度中には、いくつかのロボットを自然災害が予想される地域に配備する計画。実用化の段階を迎えつつある。

 「災害は今日にも起こるかもしれない。だから、今ある技術ですぐに役立つものをつくらなければ。被災地ならではの視点で、安全な街づくりに貢献したい」と田所さん。七日から神戸サンボーホールで始まる「ロボット×レスキュー2004」には、研究機構のメンバーが開発中のロボットも展示される。

=おわり=

 この連載は足立 聡、山本哲志、小林由佳が担当しました。
 
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