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再三の被害、消えぬ不安
豊岡市で決壊した円山川右岸近くの自営業伊藤敏彦さん(43)は二十二日夕、現場を視察した北側一雄国土交通相に、必死の形相で訴えた。
「国管理の河川でしょう。二度とこんなことがないよう、万全の対策をとってください」
伊藤さん宅は、二十日午後八時ごろから浸水した。堤防決壊で二階にも水が駆け上がり、家族七人で屋上に避難した。翌日に救出されるまで、「死」が意識から離れることはなかったという。
国交省豊岡工事事務所は二〇〇二年三月、「円山川水系浸水想定区域図」を公表した。全国の一級河川などで、百年に一回程度の大雨を想定し、流域の被害状況をシミュレーションしたものだ。豊岡市の今回の浸水区域と、ほぼ一致していた。
国はこの図をもとに、流域市町村に「洪水ハザードマップ」の作製を促した。だが「想定では浸水区域が広すぎたため、十分な避難所の確保や避難経路設定などが困難だった」と豊岡市の担当者。円山川流域の一市三町にマップはまだない。
「そんな被害想定があることさえ知らなかった」と伊藤さん。
群馬大学の調査によると、六年前、福島県の豪雨では、ハザードマップを見ていた人は、見ていなかった人より約一時間早く避難を開始したという。
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津名郡五色町広石上地区では、台風23号に備え、農業楠悦治さん(60)が水利組合の農家に動員をかけた。避難勧告が出る前に、住民の自主避難を呼び掛けた。
「勘に基づく判断だったが、最悪の事態は免れた」と楠さん。同地区にけが人は出なかった。
平年ならば、日本の台風シーズンは終わりを迎えるころだ。一九五一年以降、十一月の日本上陸は一回だけ。しかし今夏、日本列島は再三、台風に襲われた。まだ来るのではないか―。そんな不安が消えない。
日本のはるか南に控える台風24号は、二十三日午後九時現在、沖縄の南を西進中。気象庁太平洋台風センターは今のところ、「大陸から張り出した高気圧が壁となり、このまま西に進むだろう」とみているが、「今年は“当たり年”だけに、警戒が必要」とする。
淡路島内の土砂崩れ現場などでは、復旧作業がようやく始まった。円山川の堤防決壊現場でも週明けの完了を目指し、応急的な補修工事が急ピッチで進められている。
自然災害は時、場所を選ばない。(台風23号被害取材班)
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