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「光」は自ら呼び込むもの
兵庫県の旧宍粟郡四町が合併して発足した宍粟市は、県内で二番目に広い。細かく分け入った谷に集落が点在し、路線バスや鉄道などの公共交通機関の網からこぼれたままの地区も多い。
そのひとつ、旧一宮町東部の草木地区は千町ケ峰(千百四十一メートル)に連なる山あいで十三世帯が暮らす。高齢化率は50%を超える。自家用車を持たない高齢者の生活は、民間業者の移動販売などが頼りだ。内装業を営む自治会長、米田純彦さん(50)は「公共の移送サービスでもあれば、年寄りも安心だが」とため息をつく。
鉄道がなかった旧宍粟郡は、新市発足に伴いコミュニティーバスの運行を検討している。しかし、旧一宮町は「入り込んだ地形で、一日何往復もできない」と、合併前から懐疑的だ。
隣接する旧山崎町が実施してきた高齢者・障害者移送サービスを拡大する案もあるが、道路運送法の規制で対象者や用途に限界がある。
草木地区は携帯電話も圏外。アンテナ基地整備も要望の一つだが、合併を機に実現に向かう気配もない。むしろ、市域の広がりに合わせて、地域に注がれてきた関心が潮のように引いていくのを感じる。最近、開き直りにも似た思いが米田さんの頭をよぎる。
「都市化の及ばない『自然境』を守ることが、このまちの存在価値なのかも」
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「光ファイバー網さえあれば、都会と肩を並べられる」
一月に誕生した南あわじ市で暮らす西尾卓二さん(38)。大学卒業後、旧緑町の実家で乳牛五十頭を飼いながら、副業としてウェブサイトの構築を手がけてきた。
インターネットは高速・大容量の時代。その流れを呼び込み、都市部にはない淡路の映像や情報を発信できる「光」の整備が、西尾さんは「生命線」とさえ言う。
同じ島内で一日に発足した淡路市では合併に伴い、民間事業者による「光」が全市に行き渡った。南あわじ市は、ケーブルテレビ(CATV)の拡大による全市的な情報通信基盤の整備計画はあるが、「光」回線の導入は未定だ。
西尾さんは二月、町内の有志と「南あわじ市のCATVを考える会」を設立した。民間事業者を誘致し、「光」の全市整備を働き掛けようと、旧町の枠を超えた勉強会を各地で開いている。
西尾さんは「合併の恩恵は目には見えない。だが、新しいつながりが生まれた」と話す。市には旧町になかった情報課が置かれ、専門の職員が懸命に戦略を練る。西尾さんは言葉に力を込める。
「この輪は必ず、新市の一体化と活性化につながる。ここに暮らす私たち次第で、合併は生きる」
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