| 明日への模索 ―05 神戸市長選 | ||
| 1.神戸ブランド | (2005/09/29) |
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| 官製からの脱皮に手応え
「層の厚さは想像以上」。今春、洋菓子店を持つ夢をかなえるため、福井市か ら神戸国際調理製菓専門学校に入った唐崎良平(19)は、驚きを隠さない。味も、店の雰囲気も、神戸はレベルが高い。 休日は店をめぐり、パティシエ(洋菓子職人)に疑問をぶつける。「一流の腕を持つ多くの人たちに触れられる。他都市では経験できない」 昨年、神戸・元町にパティシエ養成コースを設けた同校は、生徒の半分が県外出身者。洋菓子王国・神戸に、全国からパティシエの卵が集まる。 ■ ■ 神戸ブランドを象徴した神戸ワインは今、大量の在庫を抱え、製造・販売する神戸市の外郭団体「神戸みのりの公社」の経営を揺るがす。 官製ブランド崩壊の危機は、ワインブームで最多の百十万本を売った一九九八年直後に訪れた。輸入品に押され販売数が激減。だが同公社は、農家が生産したブドウの全量買い取り制度に固執し、販売実績の倍近いブドウを買い続けた。 見直しは二〇〇二年。その年、市長就任二年目の矢田立郎(65)は、外部の専門家による初の「外郭団体経営評価委員制度」を発足させた。約五十団体の存在意義を問い、同公社には「販売促進戦略が脆弱(ぜいじやく)」などと改善を迫った。 〇四年、同公社では職員がセールスに本腰を入れ、〇六年には年功序列型給与にメスを入れる。「体質を改善できれば黒字を出せる」と経営企画課長の脇郁博(38)。ブランドの再生には、官体質からの脱皮が鍵を握る。 ■ ■ 八月下旬、「神戸コレクション」が開かれた六甲アイランドに若い女性があふれた。ステージには、タレントの叶姉妹や人気モデルら。東京に続き、今年は名古屋にも進出し、開催四年目で全国最大のファッションショーに成長した。 従来型のショーは業界向けで、半年先の“流行”を見せる。一方、神戸では消費者の若い女性に対象を絞り、今の流行を届ける。おしゃれな神戸っ子が支持するファッションへの関心が、会場をにぎわせる。 プロデューサーの高田恵太郎(55)は「神戸は海外の文化を国内に発信してきた。培ってきた目利きのよさがおしゃれにも生かされている」と言う。六月には市の外郭団体の役員を退いた。「『民』にはターゲットを絞った展開ができる」と、より自由な立場で新たな仕掛けを模索する。 ショーを楽しんだ全国の女性らが神戸のホテルに泊まる。ショーで気に入った服を買い、おしゃれをして食事を楽しむ。ショーとともに神戸のライフスタイルを堪能してもらう「ウイーク」を実現させようと、スポンサー探しに奔走する。 ■ ■ 震災後、大阪から神戸に本社を移したカタログ通販フェリシモ。社長矢崎和彦(50)は「海、山、古いビルや倉庫。神戸の環境が創造を刺激する。洋菓子やファッションをめぐる動きは、神戸の暮らしが産業になることを示している」とみる。 神戸の個性を生かすブランドづくり。「民」に軸足を置いた取り組みに、少しずつだが手応えが増している。(敬称略) □ □ 神戸市長選の告示が十日後に迫る。震災と不況で閉塞(へいそく)感に覆われたまちに、光は差しているのか。神戸の明日を探る。 |
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