明日への模索  ―05 神戸市長選
 
4.海上都市
(2005/10/02)

継ぎはぎの“再生”に不安

名古屋、筑豊、島根…。神戸・ポートアイランド(1期)の西側。九月に開業した中古車オークション会場の広大な駐車場は、他府県ナンバーの車で瞬く間に埋まった。


 神戸港にはこの六年で、神戸市が誘致した中古車関連会社が十社集積。年間取り扱い台数は六十万台近くに上り、全国最大の集積港となった。

 「展示した商品に人が集まる。雇用や宿泊など波及は大きい」。市の企業誘致課長金谷勇一(45)は胸を張る。

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 目抜き通りに長らく閉じたままのシャッターが続く。二〇〇二年に会員制スーパーが撤退し、来春にはポートピアランドが廃園。かつてのにぎわいは消えつつある。

 「このままでは街がスラム化する―」。七月、市長あてに要望書を出したポーアイ1期の自治会連合協議会会長の安田登(71)は、オークション会場に複雑な視線を送る。

 もとは日本初の本格的なコンテナターミナルだった。しかし船の大型化で、より深いバースを求め事業者が流出。クレーンは動きを止めた。

 跡地再利用のため、市は〇二年三月、「親水ゾーン」への転換を打ち出した。ホテルや飲食店を誘致し、港の景色を楽しめるウオーターフロントとして再開発する計画だ。

 しかし、土地を所有する市の外郭団体「神戸港埠頭公社」の財政悪化で計画はかすんでいった。オークション会場や物流センター、倉庫がモザイク状にほぼ埋まり、計画にうたった集客施設は見当たらない。「市の財政に余裕があれば、違った形になっていた」と市幹部は悔やむ。

 安田は「切り売りで一貫性がない」と批判。住民の不安は、再生への道筋と、将来の全体像が見えないことだ。

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 五千三百億円と十五年の歳月をかけて完成させた海上都市。八一年作成の記録書は次のように始まる。「ポートアイランド それはまさしく未来への挑戦だった」

 議論には、高さ二千メートルの超高層住宅や地上五百メートルの空中住区案も飛び出した。無人運転のポートライナーや、ダブルデッキの神戸大橋など「日本初」の技術が注がれた。

 みなと総局技術本部長を最後に昨春、市を退職した竹山征治(61)は、設計段階から三十年以上かかわってきた。

強く産声を上げた人工島は理想の街だった。しかし右肩上がりの時代が終わり、港湾やコンベンションなど他都市をリードした人工島の機能は予想を上回る速度で色あせた。竹山は「こうなるとはだれも考えなかった」と戸惑う。

 市政の民営化を訴え立候補表明した広告会社社長の松村勉(42)は「まちのコンセプトが定まっていない」と指摘。「優遇策をつくり、若者やアジアの人たちが、起業やイベントで島を活用しやすくすればいい」と提案する。

 南には来年二月、神戸空港が開港し、ポーアイ2期の医療産業都市には七十六社が集まる。市が都市の命運を託す二つの事業は企業の進出を促し、ポーアイ1期にも三つの大学や超大型スーパーなどがオープンを待つ。

 「動き始めた今こそ、再生への好機」と竹山。継ぎはぎの街は再生の青写真を持たぬまま、後発の人工島の波及効果をじっと待つ。(敬称略)

 

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