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発想は町屋の立て格子
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| 坂道に面したアーチが特徴的な「高丘の家」=明石市大久保町高丘3 |
明石市大久保町高丘の高台に広がる住宅街。山を切り開き、開発が始まったのは約四十年前。世代交代が進み、建て替えられた家が立ち並ぶ一角に、コンクリート打ちっ放しの壁がひときわ目を引く。
壁は高さ約五メートルで、坂道に面した約十五メートルの間口を覆う。しかし、圧迫感はない。道路際から約一メートル敷地内に引き込んで空間を設けたことと、真ん中に大きく開いたアーチ型の開口部によって、むしろ開放的な印象さえ受ける。
設計者の平川徹さん(58)はこの壁を、ゲート(門)と呼ぶ。役割は、住宅の半地下にあるガレージの出入り口、というだけではない。「外側から家の中が見えないようにしながら、街と家を完全に遮断してしまわないように工夫した」と平川さん。アーチは、内側と外側が判然としない不思議な空間に通じる門でもある。
平川さんは「道路に面した空間は、たとえ住宅であっても公共的なもの」と考える。「家の前を通る人に圧迫感を与えないよう、塀は設けない」というのがモットーだ。塀を作らずに住人のプライバシーを守るにはどうすればいいか―。
ヒントになったのは、意外にも日本伝統の町屋が備える「立て格子」。塀がなく、道路に面している町屋で、外からの視線を遮る「立て格子」の機能に着目。考え出したのが、このアーチゲートだった。
美しさだけでなく、ゲートには建物の強度を高める役割もある。上端の三カ所から延びた梁(はり)が住宅の一階天井に連結。ゲートと住宅は互いに支え合い、耐震性を高めている。
住宅のガルバリウム鋼板の円い屋根が、アーチの曲線と調和し、コンクリートの圧迫感を軽減している。建物の南東方向には、明石海峡大橋のゆったりとたわんだケーブルが見える。曲線美を堪能できる家だ。
(写真・記事 後藤亮平)
| データ
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★完成 2001年5月
★設計 アトリエCINQ(サンク)建築研究所
★構造 木造一部鉄筋コンクリート2階建て半地下、延べ床面積240平方メートル。敷地面積300平方メートル
★問い合わせ アトリエCINQTEL078・927・0677 |
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