|
白票でもいい 意思示そう
 |
| 商店街で活動する若者たち。「カッコよく地域を元気にしたい」=神戸市兵庫区荒田町1(撮影・山口 登) |
「今度こそ、自分に合った道を歩みたい」
二月に二つ目の職場を辞めたばかりの黒田和宏さん(26)は、週一回ペースで姫路市内の自宅からJR神戸駅前のビルへと足を運ぶ
向かったのは、兵庫県の就労支援機関「若者しごと倶楽部(くらぶ)」。大学生やフリーターら三十五歳以下を対象に求人紹介や助言を行う。
黒田さんは二〇〇三年に大学を卒業。外国語専攻で旅行会社など約三十社を受けたが、米国同時多発テロを引きずった採用控えなどで内定を得られなかった。出版社に入ったが営業職になじめず、半年で辞めた。一年後、翻訳業務ができると聞いて設計会社に就職したが、技術者を補助する仕事ばかりで、悩んだ末、二年半で退職した。
団塊世代の大量退職や景気回復で、新卒は「売り手市場」といわれる。直近の就職内定率は高校が90・2%(兵庫県内)、大学が87・6%(近畿)まで回復した。一方で、「就職氷河期」にぶつかった二十代後半―三十代は取り残された形になっている。黒田さんのように、求人と求職のミスマッチから転職するケースも多い。
職を求めて、しごと倶楽部を利用する若者は年間延べ二万人。「目的が同じ人がいると心強い。でも、焦りも大きい」と黒田さん。求職活動中に迎える統一地方選に「関心はある」という。「再チャレンジ組に今の社会は厳しい。訴えを聞いて、僕のような立場の人間の不安を少しでも和らげてくれる人を選びたい」
■
神戸市兵庫区の神戸パークタウン。「どないや、売れよんの」。下町の商店街の一角に生まれた新たな“店舗”を、周囲の店主らがのぞいて声をかける。若者たちが笑顔で応じる。
神戸芸術工科大の学生らが、空き店舗を無償で借り受けて一月に開いた店舗兼交流スペース。卒業生が作った服や雑貨を販売し、ギャラリーとしても使う。
運営を仕切る同大OBでアートデザイナーの畠健太郎さん(28)は「若い感性でカッコよく、地域の魅力づくりに役立ちたい」と意気込む。同市灘区の商店街でも、若者が集まるアトリエを開こうと計画している。
地域に根付いた活動をするうち、今まで遠い存在だった議員の実像が見えてきた。市職員や地元議員との意見交換に臨んだ時。声高に主張する議員に「影響力の大きさ」を感じた。「応援してくれると、心強いんだろうな」とも思った
「○○先生に相談したら」と勧められたこともある。でも、「政治的に特定の色が付いたり、ひとくくりに見られたくない」と距離を置いた。旧来型の議員像に違和感もある。
「『私がこうします』という言葉をよく聞くけど、議員さん一人に何かをしてほしいわけではない。地域で頑張る市民を見守り、応援する存在でいてほしい」
若い世代の選挙離れは、なかなか解消されない。それでも、と畠さんは言う。
「投票は自分の意思を社会に伝える大事な手段。選びたい人がいなければ白票でもいい。僕たち若者が思いを示し続けることで、議員の意識が変わっていくことを期待したい」
(徳永恭子、宮本万里子、浅野広明)
=おわり=
|