不信と混乱 −加西市会解散

中.重い決断 (2007/04/12)

市民「なぜ」戸惑う前市議

加西市の職員採用問題をめぐる証人喚問を前に、委員会室に入る市会百条委のメンバーら=3月26日、加西市役所

 加西市会の解散選挙の告示が十五日に迫り、前哨戦まっただ中の前市議は、支援者の反応に戸惑った。

  「市長さんは、あんなに市役所改革に頑張っているのに、なんで不信任案出したん」

  市職員の採用をめぐり、市長の中川暢三が合格者の入れ替えを指示。市会は市長の不信任案を可決した。

  賛成した前市議に迷いはなかった。採用介入問題にとどまらず、「答弁が一貫せず資質に欠ける」と、かねてから中川を問題視していた。

  しかし、支援者の評価は違った。拮抗(きっこう)する市長への批判と同情。「選挙戦で『反市長』を明確にするのは得策ではない」。これが、前市議の結論だった。

  別の前市議は、釈明に必死だ。地盤には、市長支持の住民が多い。一時間かけて不信任案に賛成した理由を説明することもある。

  「しがらみのない市長は、『改革』の訴えで支持を集められるが…」と、ぼやきも漏れる。

  中川の就任後、市会は対決姿勢を強めてきた。

  市が提出した議案の否決は、前市長時代は四年間でゼロ。それが中川市政では、指定管理者制度の導入案の否決など、一年八カ月で五件に上った。

  そんな対決の構図の中で、市会が自主的に提案し、可決した初めての議案が中川の不信任案。市民が選んだ市長を否定するという重い決断だったが、十九人中十八人が賛成した。

  背景には、周到な計算もあった。もともと統一選に組み込まれていた同市議選。今回の動きにかかわらず、選挙の洗礼を受けなければならなかった。

  不信任決議を受けて市長が議会解散を選んでも、既に決まっていた日程で選挙が行われるのは織り込み済み。解散による新たな支出や、任期の大幅な短縮といった痛みもほとんどない。こうした事情が、市議の圧倒的な賛同につながった。

  採用介入問題を調べた市会百条委員会の設置期間は選挙日程をにらみ、当初から十一日間と決めていた。

  「最初から結論ありきだった」。不信任案に唯一反対した前市議は批判するが、百条委の委員長は「十分な審議を尽くした」と言い切る。

  「十八対一」の圧倒的多数で可決された市長不信任案。賛成した前市議のうち十六人はその後、市長に対する地方公務員法違反の刑事告発にも名を連ねた。

  だが、「反市長」を打ち立てて選挙に臨む方針を明確にしているのは三人だけ。不信任案を可決したときの勢いはみられない。

  対する中川市長は「しがらみにとらわれたくない」として、親市長派の擁立や支援には動かない考え。不信任決議の是非という選挙の争点はかすみがちだ。

  解散選挙の結果次第で、新市議による不信任案の再提出、さらには出直し市長選も予想され、中川の支持、不支持が再び問われる。しかし、この流れを仕掛けた前市議らは今のところ、長期的なシナリオを描けていない。

(敬称略)

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