メガバンク誕生・変わる地域金融(3)
 揺らぐ「王国」

  「みなと銀行の動きをもっと警戒すべきだ」

 姫路信用金庫の本店会議室。昨年の秋以降、定例の支店長会議に緊張感が走り始めた。

 姫路市を中核とする播州地方は「信金王国」と呼ばれる。兵庫、播州、姫路の三信用金庫が本店を構え、預貸金シェアは同市内で五割に近い。都市銀行の三割を上回る。

 そんな鉄壁の地盤を脅かし始めたのが、メガバンクの影だ。三井住友銀行となる旧さくら銀行が、子会社のみなと銀に播州を中心とした県内二十店舗を譲渡。営業基盤の競合が一気に浮上した。

 「三井住友銀は合理化の推進で、みなと銀への店舗譲渡を加速させる」

 姫信総合企画室長の谷内勝は、そう読む。地元基盤への侵食をどう抑えるか。「足を磨く」と谷内。

 姫信では、地域密着性をより高めるため、本支店の約五十人を営業部隊に移し、徹底した地盤固めを行っている。

 農協系金融も手をこまねいてはいない。銀行預金量に相当する貯金量は計三兆六千億円。みなと銀の二兆七千億円を超える。農協金融を統括する県信用農業協同組合連合会の専務中村芳文は「農協の枠を出て、地域金融の中核を目指す」と力を込めた。今後は地場企業や公社への融資を積極化する。

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 「百貨店と専門店」

 兵庫信金理事長で県信用金庫協会会長を務める園田正和は、都銀と信金・信組など中小金融機関の違いをこう例えた。

 「地元に特化した綿密な営業網で、地域の多様なニーズに対応する。中小企業や商店へのきめ細やかな融資は、メガバンクにはまねできない」と園田。足で営業する中小金融機関の強みを力説する。

 尼崎信用金庫会長の氏平競重も「メガバンクを恐れてはいない」と話す。本業のもうけとなる業務純益は二〇〇〇年三月期で九十四億円と信金トップ。みなと銀の百三十五億円に迫る勢いだ。地域密着で得た地縁と信用は「最大の武器」と強調し「中小企業を本当に支えていくのは、地域金融機関」と言い切る。

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 「もはや限界。県民銀行に将来を託したい」

 昨年暮れ、神戸市中央区のみなと銀本店。頭取の矢野恵一朗に、神戸商業信用組合理事長の森本秀樹が合併の要請をした。

 神戸商業信組は日本生命保険が資金や人的支援を行い、中堅信組として健全経営を維持していた。

 「まだ体力があるのに、なぜ?」。いぶかしむ矢野に、森本は答えた。

 「ペイオフ解禁を一年後に控え、全国的にも再編の動きが急だ。単独ではもう生き残れない」

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 「基盤強化」と「土俵からの撤退」。メガバンク誕生でより鮮明となる県内中小金融機関の動きは、全国の金融再編の流れをも投影する。  (敬称略)

 この連載は、加藤正文、宮下裕史、桑名良典が担当しました。

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