「東京の食肉市場の牛肉はないんですか?」  狂牛病の疑いのある牛が見つかったと報じられた十二日午前。コープこうべの店頭に、問い合わせが相次いだ。

 生鮮食品部畜産チーム統括課長幾田英之は、念のため卸業者すべてに確認の電話を入れた。「東京からの仕入れはない」

 続いて、担当責任者、役員らで緊急会議。問い合わせに「扱っている牛肉の飼料には『肉骨粉』は使っていない」と説明する方針を決めた。

 コープは、肉骨粉が感染源とされてから、卸業者を通じ産地のえさをすべて調査したが、問題はなかった。ただしあくまで調査。通常は検査センターでの検査で確認する。だが、狂牛病の検査は国にしかできない。

 調査に「壁」もある。卸業者の先には荷受会社、肥育農家、繁殖農家などが多段階に重なる。

 「極めて100%に近い」と幾田。しかし、完全に100%でなければ安全宣言はできない。  

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 年間約千二百億円の牛肉を流通業者などに販売する伊藤ハム(西宮市)。全体の八割は契約農家などから仕入れ、えさの種類まで指定する。二十年かけ、顔の見える関係を築いてきた。十二日も、東京市場の肉は用いていないと確認できた。

 「何かあったときのため、この体制をつくり上げた」。ミートパッカー関西事業部長の山内直文は胸を張る。だが、それでも「どこかで肉骨粉が混ざった可能性がない、とはいい切れない」。

 やはり、100%の断言はできない。

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 神戸市内で食肉店を経営する海崎孝一は十二日夕、県食肉事業協同組合連合会長の平井力に今後の対応策を尋ねた。

 業界内では牛肉の売り上げが一―四割も減少。十八日に始まる国の検査で安全宣言が出るのを切実に望んでいる。それだけに、口調は重い。「これでも宣言は出ますか」

 だが業界の実力者の平井は、こう説いた。「検査をパスした牛肉は、安全ということ」

 神戸食肉青年会の会長でもある海崎は、国に要望する。

 「きっちりした検査体制の確立が、信頼回復の何よりの近道だ」

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 九月に千葉で初の感染牛が見つかって以来、国は危険部位を使った加工食品の回収要請や、原因とされる肉骨粉の流通停止などを実施。十八日の精密検査で安全宣言を出す方針だったが、十二日の東京での感染騒ぎは、消費者や業界にあらためて不安を広げた。畜産県・兵庫で「安全」の行方を追った。

=敬称略=(経済部・狂牛病取材班)

(掲載日:2001/10/13) 


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