カンタータ「歎異抄」近くCDに 作曲家で僧侶 姫路の大谷千正さん

  2002/05/27


 フランス音楽の研究家、作曲家で、浄土真宗の僧侶でもある大谷千正さん(45)=姫路市在住=が声楽、オーケストラのために作曲、二〇〇〇年に初演したカンタータ「歎異抄(たんにしょう)」が近く、CD化される。「バッハがキリスト教精神を表現したように、仏教の心を音楽化できないか」と模索した意欲作。作品への思いを、大谷さんに聞いた。
(姫路支社・藤本 賢市)

仏教の精神を音楽化/温かい響きと旋律で慈悲≠表現

 親鸞の「歎異抄」の一部を歌詞に作曲。「三帰依」「善人なおもって往生をとぐ」など九部からなり、約二十分。独唱と合唱、オーケストラの総勢百五十人。遅めのテンポ、包容力豊かな温かい響きと旋律が、仏の慈悲を表現する。

 「従来の仏教音楽は、行事用の特殊なものか、仏教をエキゾチックな要素としてトッピングした程度にとどまっていた。仏教精神を理解した音楽家が手がけてこなかったからだ。“歎異抄”には、長年研究してきたフォーレ風の要素も取り入れたが、全体的に独自性が強く、普遍的な内容にできたと自負している」

 CDは、昨年十二月から今年三月にかけて収録。初演以来、すべての実演に出演してきた浅井順子さん(ソプラノ)、花月真さん(バス)を独唱者に起用し、合唱団も日紫喜恵美さん(ソプラノ)ら関西二期会の主役級で編成。器楽は一部、コンピューターによるサンプリングを用いた。八月ごろに発売予定。

 「優れた演奏家と技術者に協力してもらい、満足している。すでにラジオ関西の宗教番組やフランスのFMで放送され、反響があった。大編成での実演は経費的に困難なので、作品の真価を伝えるのに、重要な役割を担ってくれるはず」

 大阪での初演以来、ピアノ伴奏版では、四回実演。今年十月にブラジル・サンパウロで開かれる浄土真宗本願寺派の世界大会でも披露される。九年後の親鸞七百回忌記念行事に向け、新たなオペラも構想中だ。

 「仏教そのものが国際化し、情報量が豊富な今、まやかしの日本風音楽は通用しない。経典の言葉の裏まで伝える、優れた音楽に挑戦し続けたい」

 CDの問い合わせは、仏教音楽研究所TEL075・371・5181

 おおたに・せんしょう パリのエコール・ノルマル音楽院などを卒業し、一九八八年にはソルボンヌ大学で博士号を取得。現在、同大客員教授、相愛大、立命館大講師、仏教音楽研究所研究員。訳著に「評伝フォーレ」「サティとコクトー」など。

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