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30周年迎えて記念本 「猟奇王」の漫画家・川崎ゆきお氏
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2002/08/26 ロマンを追う孤高のヒーロー「猟奇王」シリーズで知られる、伊丹市在住の漫画家川崎ゆきお氏(51)が、デビューから三十周年を迎え、このほど記念作品集を発表した。いびつにゆがんだ描線、思わずニヤリとさせる味なユーモア、屈折したキャラクターたちの無意味な行動…。一九七〇年代、月刊漫画誌「ガロ」で連載が始まったその奇妙な作品は、読者に衝撃を与えた。いまなお独自の道を走り続ける伝説的漫画家に、創作への思いを聞いた。 (平松正子) 信念と愛着 ロマン追う/絵は水木しげる、物語は乱歩が原点 ―漫画家を志したきっかけは? 「子供のころは、普通に横山光輝や白土三平を読んでいた。決定的だったのは、高校時代に出合った貸本漫画時代の水木しげる作品。あんな絵が認められ、印刷して売られていることに、何かしら救いを感じた。同時期に江戸川乱歩を読み、その前時代的な雰囲気にもハマった。絵は水木、物語は乱歩が原点になっている」 ―七一年「ガロ」でデビュー。が、一般には認知されない時期が続いて… 「会社に行くのがイヤで漫画家になろうと思い、貸本の作家らが多く流れていった『ガロ』に投稿した。でも原稿料はほとんど支払われず、他誌にはなかなか載らない。漫画の原稿料だけでは食べられず、イラストや写真エッセーの仕事もやった。結局、まっとうな社会生活よりずっとシビアだった」 ―翌七二年「猟奇王」が初登場。アジトにこもってひたすらロマンを夢想する主人公は、伊丹の地で独自の創作を貫く作者の分身? 「漫画家ならだれだって、多少ともキャラクターに自分自身を投影する。僕の場合、幸か不幸かメジャーな雑誌に作品が売れなかったから、何の制約も受けずに描くことができ、特異な進化をしてしまった。で、当初は一、二本で終わるつもりだったのが、気づいたら三十年も描き続けていた」 ―記念本に収録の最新作「大阪ダンジョン」は、地下世界を舞台にしたロマンス。猟奇王はむしろわき役に… 「初期の猟奇王はよく走ったが、最近はおとなしくしている。現実の方が猟奇的すぎて、ロマンを追うのも疲れるのだ。怪しげなものをタブー視して隠してしまうところに、現代の恐怖がある。乱歩調の“芸”として見せる猟奇は現代にも必要と思い、この地下ダンジョンの物語を描いた」 ―またこの本には、川崎作品に影響された人々の寄稿も。根元敬、ひさうちみちお、蛭子能収という豪華な顔ぶれ 「僕よりはるかに有名な人たちが、影響を受けたと言ってくれるのは面白い。猟奇王のロマンは、思いもつかない意外な化け方で世間を驚かす、イタズラみたいなもの。彼らのような作家を生み出したのも、一つのロマンかもしれない」 ―ロマンを追って三十年、今後の展開は? 「娯楽が分散し、漫画読者の絶対数が減っている中、大手出版社が企画チームを組んでヒット作を作ろうとしても失敗している。それなら一人の作者が、信念と愛着を持って描いた作品の方が、説得力があるのじゃないか。このまま生きていければ、四十年、五十年と描き続けるだけ」
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