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芦屋で「震災から10年」展
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2005/04/04 明石出身の写真家・米田知子 だれもいない空っぽな風景に、戸惑いを覚える。一・〇四×一・二三メートルの大きなカラープリントの下半分はただ草っぱらが、上半分は夏の青空が広がる。真ん中を高速道路が横切り、その上には、高層住宅が小さくのぞく。 阪神・淡路大震災から十年を経た芦屋の風景。芦屋市立美術博物館の企画で、明石出身でロンドン在住の写真家米田知子が撮影した八点のうちの一点だ。 十年前、ここを仮設住宅が埋め、震災と不況が土地の動きを止めた。埋立地につくられた震災復興住宅には、それまでの生活から切り離された人々が暮らす。別の作品では、整然と区割りされた住宅地から取り残された更地を写す。震災を知る人はもちろん、知らない人も、この不自然な「空き地」から、何事かを読み取るに違いない。 米田は「歴史と記憶」をテーマとしてきた。シリーズ「Scene」の被写体は、フランスのリゾート地や鹿児島の野球場。だが、そこはノルマンディー上陸作戦によりおびただしい血が流れ、特攻隊が死へと飛び立った場所であることが、タイトルによって示される。土地の災厄の記憶を呼び起こし、忘却に静かな抵抗を試みる。 「劇的に撮ろうとしなくても、場所が語り掛けてくる」と米田は言う。カメラが切り取るのは一瞬であろうとも、優れた写真家は、その場に堆積(たいせき)する時間までもはっきりととらえる。ときには、未来への希望さえも。 両岸に仮設住宅が並んでいた川を撮った作品がある。遠くに見える復興住宅をのぞみ、子どもが中州の先端で一歩を踏み出そうとしている場面は、厳かでさえある。まったくの偶然だというが、「憧(あこが)れの、思い出の詰まった」神戸、阪神間に寄せる気持ちが引き寄せたのだろう。 この展覧会は、今秋開催される国際美術展、横浜トリエンナーレへも参加する。それは、記憶を開き、かかわり方を考えるきっかけにもなると、期待される。(田中真治) ◇ 「震災から十年 米田知子展」は十日まで(月曜休館)。震災直後に撮影した未発表のモノクロ作品十点も同時公開。隣接の谷崎潤一郎記念館でも、谷崎の眼鏡と手紙を使った作品一点を展示する。同館TEL0797・38・5432 | |
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