(掲載日:2008/08/19)
183.成和(神戸市長田区)
婦人靴製造

履きやすさ 視覚に訴え

同社の中敷きや自社ブランドの靴。履きやすさを高める機能を視覚的に訴える=神戸市長田区若松町8、成和

 靴の履き心地に影響する中敷き。普通は目立たないが、婦人靴製造の成和(神戸市長田区)は、機能を視覚的に訴えようと、あえて「見せる中敷き」を開発した。

 スポンジやゴム、ジェル状の液体などの緩衝材を布などに包まず、何を使用しているかが外から分かる。専務で開発責任者の武田勝彦(45)は「消費者が手に取り試し履きをすれば、良さを分かってもらえる自信があった」という。

 ただ、国内や中国の模造品が気掛かりだった。「手間をかけて開発してもすぐまねされる。機能を見せることは、企業秘密を公開しているようなもの」だからだ。

 その対策として取り組んだのが、商品のデザインやブランドの権利を保護する意匠権や商標権など知的財産の取得だった。二〇〇一年から、年間一―二件の登録を続ける。これまでに延べ二十三件を取得し、一部は中国などでも登録済みだ。特許申請中のものも数点ある。

 主力は、中敷きを生かしたフォーマルパンプスで、自社ブランドの「PRET―A(プレタ)」など百程度のデザインを展開する。ドーナツ状にくりぬいた中敷きに緩衝材を入れた「ドーナツボール」などもヒット商品だ。

 武田は〇二年、兄で社長の武田芳彦(47)と父の会社を継いだ。履きやすさを追求するうちに、新しい素材を使った中敷きをアピールする靴の開発を思いついた。

 靴は六割を長田、四割を中国で生産する。生産場所や皮など靴の素材、中敷きを変え、四千九百―一万八百円まで幅広い商品を提供。高級デパートから量販店、通販まで幅広い販路に対応できることも強みだ。

 かつて同社の問題点を改善した類似品が出たこともあるという。次々に新しい商品を開発するのは費用もかかるが、「協力してくれる資材会社や従業員、消費者のおかげで開発が続けられる」。

 利用者の声や社員、モニターらの意見に耳を傾け、改善を重ねる。緩衝材の性能や安全性は民間の検査機関で検証する。化粧品として使う素材を用いるなど安全性にもこだわる。

 「通気性や柔軟性など、素材は日々改良される。靴も時代に応じて進化できるはずだ」と熱く語った。

=敬称略
(阿部江利)

データ 1960年創業。80年に長田に移るも、95年の阪神・淡路大震災で会社が倒壊。1年間西区で操業し、96年に若松町の新工場に移った。2007年度の売り上げは約14億円。従業員は30人。

 

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