次代へ 課せられた清算
北朝鮮が日本人拉致を認めて二カ月。十月に神戸市内で開かれるはずだった「朝鮮人強制連行真相調査団全国交流集会」は、延期になったままだ。
過去を痛烈に批判してきた北朝鮮が、自らも過ちを繰り返していた。ショッキングな展開に、植民地支配の歴史を学び、両国の未来に生かそうとする取り組みが揺らぐ。
日本人実行委員の一人は「歴史を見据えることで、日本とアジアの関係を培うことができるのだが…」と嘆いた。
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史実をなかったことにはできない。
兵庫県内に住む在日朝鮮人三世の女性は、集会などで強制連行の被害者から直接、体験談を聞いてきた。
二十代。「拉致被害者が語る姿に胸が痛む」と言うが、違和感もある。
「同じように強制連行の被害者の声も聞く必要がある。亡くなる人も多く、今しか聞けない。なのに、その声はなかなか取り上げられない」
同世代の知人に「いつから日本に住んでいるの」「言葉が上手やね」と言われてきた。歴史への無関心さが気になる。
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拉致と強制連行。いずれも、真相究明と被害者や家族への補償を抜きに、解決の道はない。
在日韓国人三世の朴一(パクイル)・大阪市立大教授(46)=アジア経済論=は「拉致も強制連行も、国家暴力による人権侵害である点で同じ」と位置づける。
その上で、日朝両政府が二つの問題を外交カードとしている現状を批判する。「国家対個人の関係で起きたことが、国家対国家にすり替えられている。補償は本来、国ではなく個人に向けられるものだ」
朴教授は、韓国の金大中大統領がかつて日本から拉致された事件を挙げ、国家機密が絡む事件の真相究明の難しさを指摘した。
「警察の現地調査のためにも自由往来の道筋を探るべきだ。国交正常化なくして日本人拉致事件の解決はない」と。
誰もが日朝間を自由に往来できる日。そこから新しい時代が始まる。
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神戸での交流集会について、実行委員会は「中止ではなく、延期だ」と強調した。しかし、延期はいつまでなのか、困惑を隠さない。
「どういう状況になれば開催できるのか。その見当さえつかない」 =おわり=
(宮沢之祐、磯辺康子、新谷敏章)
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