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悲しみ越える強さ
製作ブラッド・ピット、主演アンジェリーナ・ジョリーという話題のカップルによる映画「マイティ・ハート/愛と絆」。実際に起きた米紙記者誘拐事件を妻の姿を通して描き、イスラム過激派のテロを真正面から見据えた。
米紙ウォールストリート・ジャーナルの特派員ダニエル・パール(ダン・ファターマン)とフランス人ジャーナリスト、マリアンヌ(ジョリー)の夫婦は、米中枢同時テロ以降のアジア情勢を取材してきた。
帰国直前に訪れたパキスタンのカラチ。妊娠中のマリアンヌに、夕食までに戻ると言って取材に出たまま帰らないダニエル。アルカイダと関係するテロ実行犯について調べるため、イスラム指導者に会いに行ったのだった。
まもなく誘拐犯グループから、夫を「CIAのスパイ」と決めつけた犯行声明のメールが送られてきた。希望を持とうと努めてきたマリアンヌに伝わったのは、絶望的な結末だった―。
「強い心」を意味するタイトルからも分かるように、絶望に浸る物語ではない。悲劇を乗り越える妻の姿に「こんな生き方を自分はできるだろうか」と考えさせられる。
演技力には定評があるジョリーだが、不安と焦燥感に襲われる様子は鬼気迫る。実生活でも出産を経験したばかりだから、特別な思い入れがあったのだろう。
時事的題材をドキュメンタリー調に料理するのを得意とするマイケル・ウィンターボトム監督を起用。臨場感あふれる映像で本領を発揮した。
サスペンス調の娯楽映画にしなかったところに製作側の誠意が表れる。それでも事件の結末が分かっているだけに、何げないエピソードの一つ一つにも緊張がみなぎっている。
一時間四十八分。ワーナー・マイカル・シネマズ明石などで公開中。 |