Be Cool (2005/09/09)

 

芸能界の裏、軽妙に

 とにかくサイコーに「クール」。しゃれて、いかした娯楽作だ。粋でキマリすぎの主人公、クセ者ぞろいで存在感たっぷりの脇役たち。機知に富んだ会話や悪ノリ、お遊びに加え、ドタバタの展開の中、きっちりとキレイなオチを仕掛ける脚本の妙、手抜きのない音楽…。決して大作ではないが、観客を楽しませるツボを押さえつつ、俳優もスタッフも余裕と愛嬌(あいきよう)たっぷりに、存分に遊んでいる、そんな感じが伝わってくる都会的な喜劇だ。

 原作は、米の人気作家エルモア・レナードの同名小説。ロスを舞台に、金と欲望、暴力が渦巻くスキャンダラスな音楽業界の裏側を、軽妙な笑いとともに切り取る。

 そのディープな世界の案内役となるのが、ジョン・トラボルタ演じる主人公チリだ。今は映画製作者として活躍するダンディーな元ギャング。常に冷静沈着で、銃を突きつけられても、慌てず笑いを絶やさない。頭の回転が速く、無論、腕っ節も強い。カッコ良すぎて少々漫画的でさえあるが、それもトラボルタの計算の内か。ふてぶてしさの中にキュートさ、知性、色気を漂わせ、決めぜりふは「Be Cool(クールに行こうぜ)」。彼の魅力が映画の柱であることは間違いない。 若手歌手リンダの売り出しを狙うチリの周囲には、ロシアンマフィアに警察、殺し屋、借金取り立てのギャングまがいのラッパーらが入り乱れる。最後まで騒々しいが、だましだまされの“詐欺ゲーム”も、最後はきれいにオチて、大団円。リンダは、見事スターへの道を駆け上がる。

 音楽映画としても素晴らしい。リンダ役の歌手クリスティーナ・ミリアンの歌声は迫力十分で、加えて、人気ロックバンド「エアロ・スミス」のボーカル、スティーブン・タイラー本人がリンダと共演するあたりは、ほとんど“反則技”のノリで大いに盛り上がる。

 映画ファン受けするマニアックな会話など、遊び心も随所に。レスラーとしても知られるアクションスター、ザ・ロックが、間抜けなゲイの用心棒役を喜々として演じているのが意外性の面白さなら、チリとヒロイン、イーディが踊るダンスシーンのセクシーさは、狙いすましたシャレっけか。さすがトラボルタ! という名場面だ。公開中。(堀井正純)

〈ストーリー〉映画プロデューサーとして成功した元ギャング、チリ・パーマー(ジョン・トラボルタ)は、レコード会社を経営する旧友トミー(ジェームズ・ウッズ)が目の前で殺されたのをきっかけに、音楽業界への参入を決意。トミーが気にかけていた無名の新人歌手リンダ(クリスティーナ・ミリアン)を売り出そうと、トミーの妻イーディ(ユマ・サーマン)に持ちかける。

 だが、リンダはすでに別の悪徳マネージメント会社と契約済み。強引にリンダを奪おうとするチリは、ライバル会社に命を狙われ、さらに、トミーの会社の負債を取り立てに危ない男たちも現れて…。米映画。F・ゲイリー・グレイ監督。二時間。

 

HOME ・ 映画TOP

Copyright(C) 2005 The Kobe Shimbun All Rights Reserved