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米裏社会、実話を基に
一九七〇年前後のニューヨーク・ハーレムを舞台に、頭角を現す麻薬ディーラーと、彼を追う、無頼派の刑事との駆け引きを描く。実在の人物二人をデンゼル・ワシントンとラッセル・クロウという芸達者が演じ、英国出身のリドリー・スコット監督が洗練された人間ドラマに仕上げている。
黒人ギャングのボスが心臓発作で急死する。新しい生き方を迫られた部下のフランク(ワシントン)は、東南アジアの国境地帯で純度の高い麻薬が安く手に入ることを知り、ベトナム戦争の戦死者の棺(ひつぎ)に忍ばせ米国内に密輸。その後、直接取引によるルートを開拓し、麻薬王にのし上がっていく。しかし、その身辺に、ニュージャージー州の麻薬捜査班刑事リッチー(クロウ)が迫っていて…。
上品な細身スーツに身を包み、目立つ行動は慎めと仲間をいさめるフランク。麻薬市場に流通革命を起こした頭脳の明晰(めいせき)さと、ここぞという場面での決断力で裏社会を生き抜く。一方のリッチーは女にだらしなく私生活は破綻(はたん)しているが、麻薬の横流しや汚職に手を染める警官を嫌悪する正義漢で、このため同僚から白眼視されもする。
二人ともある意味、腐った体制に逆らうヒーローで、観客が共感できる存在。そこが単純な勧善懲悪ものとは一線を画している。
フランクはついにはリッチーに逮捕されるが、ここで物語は終わらない。フランクの証言で警察の組織的な汚職が判明し、百五十人もの逮捕につながる。このため、司法取引でフランクが懲役十五年に減刑されるシーンには、思わず胸をなで下ろしてしまうのだ。
スクリーンには、ベトナム戦争で疲弊した米国社会の雰囲気が色濃く漂っており、作品を引き締めている。
二時間三十七分。OSシネマズミント神戸などで公開中。
(片岡達美)
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