ぼくたちと駐在さんの700日戦争 (2008/04/18)

「よき時代」の青春

 ブログで人気の小説を映画化した「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」は、ノスタルジックな温かみを持った青春映画だ。舞台は、一九七九年のある田舎町。ママチャリ(市原隼人)、「偏差値ゼロ」の孝昭(加治将樹)、食いしん坊の千葉くん(脇知弘)ら高校生七人は、いたずらをし放題の日々を送っていた。

  その前に立ちはだかったのが、駐在さん(佐々木蔵之介)だ。高校生のいたずらには、スケールを上回るいたずらで報復するなど、実に大人げない。喫茶店で働く美人(麻生久美子)が駐在さんの妻と分かり、ママチャリらの闘志はさらに燃え上がる。

  そんな折、仲間の一人が事故で入院。病院で知り合った重病に侵された少女に手術を受ける決意を固めてもらうため、ママチャリらはある約束をする―。

  悔しがらせることだけが目的で、仕掛けた方が後味の悪さを感じずに済むようないたずらでも、現在なら大問題になってしまうかもしれない。

  フィクションなのだが、「昔だったら許されただろうな」と思わせるだけの説得力があり、約三十年前の空気が伝わってくる。当時は、町の大人が子どもたちの顔をきちんと見ていて、反対に子どもたちも他人である大人に甘えることができた。しかし、そんな関係も現実の社会では失われてしまった。

  映画のエピソードの数々は痛快だが、物語の緊迫感はそれほど高まらない。まあ、「よき時代」を確認できるのだから、それは悪いことではないのだけれど。

  一見冷ややかで不親切だが、高校生たちへの愛情を胸の奥にたたえた大人を、佐々木が手堅く演じている。

  百十分。OSシネマズミント神戸などで公開中。

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