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青春の輝きと終焉
一九六六年のビートルズ初来日で火がつき、スパイダースやタイガースなどが一大ブームを巻き起こしたグループサウンズ(GS)。その熱狂の渦中にいた若者たちを通し、青春の輝きと終焉(しゅうえん)を鮮やかに焼き付けたコメディーだ。ある年代以上の人にとっては懐かしい時代を愛情を込めてよみがえらせつつ、今の若い観客にも通用するポップな世界観に仕上げた本田隆一監督の手腕が光る。
ブーム真っただ中の六八年。ビルの屋上でビートルズの“パクリ”曲を演奏していたマサオ(石田卓也)ら三人は、弱小芸能事務所の梶井(武田真治)にスカウトされる。ビートルズと同じ四人組にするため、男と偽って無理やりメンバーに加えられた歌手志望のミク(栗山千明)とともに、「ザ・タイツメン」を結成する―。
デビュー曲「海岸線のホテル」が凝っている。詞・橋本淳、曲・筒美京平という当時ヒットを連発した黄金コンビの書き下ろし。単語の繰り返しの妙と覚えやすいメロディーはさすがの職人技で、時代をけん引したすごみすら感じられる。
曲の良さとミクの中性的な魅力で、瞬く間に人気を博したタイツメン。メディアに注目される祭りのような状況を、無邪気に楽しんでしまう彼らの若さがいい。かつてのGSメンバーも、こんなふうに青春を謳歌(おうか)したのではないだろうか。
随所に織り込まれる遊び心がそんな明るさを引き立てる。タイガースの一員だったレコード会社社長役の岸部一徳に「タイガースいいよね」と言わせ、あまつさえ歌の一節を口ずさませるとは…。監督、やってくれる。
だがブームは去り、あの熱狂は当事者やファンそれぞれの美しい思い出になっていく。では、タイツメンはどうか? 一抹の寂しさをはらんだ終盤の展開は、カラフルな映像と軽めの演出に油断していると、うっかり泣かされてしまうかも。一時間四十分。十五日からシネ・リーブル神戸で公開。
(黒川裕生) |