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戦闘シーン リアルに表現
第2次大戦中の日本海軍が、世界屈指の潜水艦を保持していたことをご存じだろうか。わたしは大和や武蔵など巨大戦艦のイメージが強く、潜水艦と言えばドイツのUボートしか知らなかった。日本潜水艦と米軍駆逐艦との一対一の戦いを描くのが本作。乗組員たちの命がけの姿や、戦術の駆け引きは緊迫感にあふれ、潜水艦という狭い閉鎖空間の息苦しさとも相まって見応え十分だ。
現代、倉本いずみ(北川景子)に祖母が書いた楽譜が郵送される。米国から届いたことを不思議に思い、潜水艦艦長だった祖父、倉本孝行(玉木宏)の部下・鈴木(鈴木瑞穂)を訪ねる。鈴木は終戦直前の夏、沖縄南東海域であった戦いの日々を語り始める―。
倉本の潜水艦「イ―77」は、米軍の燃料補給路をたたく作戦を遂行中、スチュワート艦長率いる米駆逐艦に遭遇する。
駆逐艦は当時から機動している船を使用。終戦時、26歳で潜水艦艦長を務めていた今井梅一さんらの監修も受けた。
それだけに戦闘場面が面白い。爆雷を的確に投入する駆逐艦と、くぐり抜けて魚雷を当てようとする「イ―77」。互いの位置を知る「ソナー(聴音機)」で静かに探り合う。味方を沈めた駆逐艦の攻撃パターンを読み、回り込んで攻撃する。「静」と「動」が何度も入れ替わる戦いは新鮮で、才能あふれる艦長同士の心理戦も見どころだ。
戦いを通して両艦長にはある種の尊敬が芽ばえる。だが敗戦直前、命のやりとりをする中ですがすがしい戦いが成立するのか。疑問が残った。
一方、計器やパイプなど潜水艦内部は細部までリアルに作り込まれている。攻撃を受ければ火花が散り、浸水が降り注ぐ。海底に沈めば水圧の変化で電球も割れる。深海の圧迫感が伝わってくる。
さて、戦闘中に「イ―77」は性能の限界を超える。倉本は奇想天外な方法で起死回生の一手を打つ。感動とともに、製作者のメッセージが胸にストンと落ちる。見事!
1時間59分。OSシネマズミント神戸などで公開中。
(吹田 仲) |