96時間 (2009/09/04)

「娘のため」父の迫力満点

 今年の米アカデミー賞授賞式。「おくりびと」の英題「デパーチャーズ」を読み上げ、外国語映画賞授賞を告げたプレゼンターを覚えているだろうか。

 「シンドラーのリスト」で知られる英国の名優リーアム・ニーソン。いつもは紳士的な雰囲気でちょっと悲しげな表情の彼が、この「96時間」では一変、鬼の形相ですごみある演技を披露している。

 18歳のキム(マギー・グレイス)は旅先のパリで、何者かにさらわれてしまう。元工作員の父ブライアン(ニーソン)は、たった一人で犯人一味を突き止め、娘を助け出そうとする。

 工作員時代に培った経験を生かし、わずかな手掛かりから犯罪組織に迫っていくブライアン。的確に状況を判断し、機転を利かして次々とピンチを乗り切っていくさまは、まるで007のジェームズ・ボンドのようだ。

 しかし、スタイリッシュでクールなボンドと決定的に違うのは、ブライアンの凶暴ぶりだ。感情むき出しで犯罪者たちをなぎ倒し、時には残忍極まりない拷問も辞さず、その姿は狂気に近い。いくら娘を助け出すためとはいえ、一体、何人殺すのかと、あぜんとしてしまう。

 冷静に振り返ると、出来過ぎた展開など突っ込みどころも結構多いものの、迫力満点のニーソンの演技に圧倒され、細かいことは気にならない。アクション満載のスピード感あふれる映像で、クライマックスまであっという間だ。

 ブライアンが示す父親像は極端ではあるけれど、娘のために、捨て身で強大な敵に突っ込んでいく姿は実にかっこいい。

 「子どもが何を考えているのか分からない」とお悩みのお父さん、お母さんも、この映画を見ればスッキリするのでは。

 1時間33分。OSシネマズミント神戸などで公開中。

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