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「母の愛」に止まらぬ涙
エンドロールが終わっても涙が止まらない。日ごろ、難しい顔で評論している男性記者の目も真っ赤になっていた。
実話から生まれた女子刑務所合唱団の物語。冒頭、受刑者ジョンヘ(キム・ユンジン)が叫び声を上げながら顔をゆがめ出産する。ユーモラスな場面が象徴するように、刑務所が舞台にもかかわらず軽快なタッチで進む。
所内で生まれた子どもと暮らせるのは18カ月で、その後は親戚に預けるか、養子に出さなければならない。ジョンヘは犯罪者の家族にさせたくないと、二度と会えないかもしれないことを承知で養子を選ぶ。何とも切ない展開だ。
子どもとの思い出づくりを考えていた時、慰問に来た合唱団の歌声に感動し合唱団結成を思い付く。ひどい音痴を猛練習で克服。乗り気ではない受刑者たちを引き込む。所内での発表会を成功させ、一般の音楽会出演も決まるが、親子の別れは迫っていた―。
ユンジンは、女スパイを演じた映画「シュリ」でブレークし、現在は米国を拠点に活躍し、人気ドラマ「LOST」に出演。本作では新米ママのアタフタぶりや、子どもを手放さなければならない苦悩を見事に表現した。
物語のもう一つの軸は受刑者の苦悩。ジョンヘはおなかの子を守ろうと暴力をふるう夫を殺す。ほかも浮気やレイプなど男に苦しめられた末の犯行で、ある意味で彼女たちも被害者と描かれる。
その中の一人、ユミは義父にレイプされそうになり誤って殺害。母との面会を拒み続けたが、仲間と歌うことで明るくなり、会う気持ちになる。ジョンヘにもさりげないが、忘れられないような奇跡が起きる。私は声を押し殺して泣いた。
「母はどれほど、自分の子を愛しているか」―。これが本作のテーマだ。誰もが自分の母を思い出すに違いない。1時間55分。22日から三宮シネフェニックスなどで公開。
(シネマ・パーソナリティー 津田なおみ) |