黄色い星の子供たち (2011/07/15)

悲しげな表情の問いかけ

 初めて「アンネの日記」を読んだ小学校時代を思い出す。「父の下で働いていたヒースさんがアンネをかくまっていた」と教えてくれた担任の先生は、こう付け加えた。「良い心で世の中を見ていると、ヒースさんのようになれますよ」と。

 第2次大戦中の1942年。ドイツに占領されたパリで1万3千人ものユダヤ人が一斉検挙された「ベルディブ事件」について残されたインタビュー記事や手紙、日記などを参考に、ジャーナリストでもあるローズ・ボッシュ監督が製作した。

 11歳のジョーはドイツ兵を相手に歌って小遣いを稼ぐたくましいユダヤ人の少年。ジョーの父親は「フランスは救いの国」と安心していたが、ドイツのユダヤ人迫害政策に全面協力したフランスは、女性や子どもも含めパリに住むユダヤ人を一斉に検挙し、ジョーの家族も捕らえられてしまう。

 一方、当時のパリの消防士や警察官らには、自らの命の危険を顧みず、母国の間違いに対する抗議を行動で表す人も多かった。フランス在住のユダヤ人の4分の3が生き延びたことがそれを物語る。

 収容所で世話をする看護師アネット(メラニー・ロラン)は、ユダヤ人と同じ食事により自ら8キロ痩せることで、食事の改善を知事に訴える。祖父がアウシュビッツに収容されたというロランは、ノーメークで目の下にくまをつくって熱演。名優ジャン・レノが、物静かで心優しいユダヤ人医師を演じている。

 登場人物は全て実在した人たち。「黄色い星」とは、当時のフランス北部で、6歳以上の全てのユダヤ人が胸に着けるよう命令された胸章のことだ。「死への列車」に乗せられる子どもたちの悲しげな表情が問いかけてくる。「あなたは他人にきちんと手を差し伸べられますか?」

 2時間5分。23日からシネ・リーブル神戸で公開。

 (シネマパーソナリティー・津田なおみ)

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