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ピュアな輝きで描く「死」
身内が重い病で入院した時、友人から言われた一言を思い出す。「亡くなった後に何度もお墓に通うより、今どれだけの思い出を作るかが大事だよ」
本作は「死」をテーマにしながら、木漏れ日のような優しさで「生」をつづるラブストーリーだ。
交通事故で両親を失い、自身も生死の間をさまよった少年イーノック(ヘンリー・ホッパー)。高校をドロップアウトし、友人もいない彼の話し相手は、彼にしか見えない特攻隊員の幽霊ヒロシ(加瀬亮)だけ。毎日、見知らぬ人の葬式に遺族のふりをして参列し、「死」を追いかけるように暮らしている。
彼の前に現れたのが、余命3カ月の少女アナベル(ミア・ワシコウシカ)。「死」によって結びつけられたふたりは引かれ合う。「3カ月あればなんだってできるさ」と、バドミントン、アイススケート、フェンシング、自転車、空手などを楽しむ。
ふざけ合う姿はまるで子どもの恋愛ごっこのようで、リアルな死への恐怖は感じられない。純粋さは「死」をおとぎ話のように、ロマンチックに味つけしていく。
ピュアな輝きを繊細さと不器用さを織り交ぜて演じるふたりは、ミントの香り漂うようなみずみずしさに満ちている。イーノック役の青年をどこかで見た気がすると思ったら、昨年亡くなった名優デニス・ホッパーの息子。横顔がそっくりだ。監督は「ミルク」で2009年の米アカデミー賞脚本賞などを受けたガス・ヴァン・サント。
大切な誰かの心に残ることができるなら、永遠に生き続けられる。アナベルが「死」を恐れずほほ笑み続けられたのは、その「誰か」を見つけたからだろう。サント監督が私たちにささやきかける。人が生きていくのは、その「誰か」を見つけるためなんだよ、と。
1時間半。23日からシネ・リーブル神戸で公開
(シネマパーソナリティー・津田なおみ)
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