(掲載日:2002/12/14)
11.親も恋人も、夜の顔は知らない

 この不況下で「売り上げは伸びている」と豪語したソープランド店長。三十八歳という彼は、独自のノウハウを口にした。

 名刺の表にホームページのアドレス、裏にはそこに掲載する項目を印刷している。

 「ネットの情報コーナーには、『現役看護婦が入店します』という具合に、女の子のプロフィルを添えた内容を流す。その情報は毎日、更新してる」

 店の女性と個人的にメールが交換できるコーナーもある。

 「お店に来たことがない男性にも、その気にさせる」

 彼は言い切った。

 「要するに、いかにして店に“はめる”かです」

 店先での立ち話はそこで終わった。その口調に気圧(けお)された気分を引きずって、福原の路地をさらに歩く。

 そういえば、何人かの店長が同じことを言った。「もうけないと、即クビ。それがこの世界です」。語り口に勢いがあればあるほど、風俗街で背負う荷が重いということか。

 では、この街で働く女性はどうなのか。一人の女性を紹介してもらった。二十四歳。キャバクラやデートクラブなどで働き、今年一月に転職してきた。

 「親は知ってるの?」

 「アリバイづくりの会社があって、下着を販売してることになってる」

 「恋人は?」

 「いるよ、六つ年下。同せいしてる。彼にはスナックで深夜まで勤めてると言ってある」

 「よくばれないね」

 「店を出る前、自宅と同じボディーソープで洗うの。それに香水もつけてるから」

 月収は五十万円という。三カ所のエステ代や服、貴金属などのローン残高は計三百五十万円。返済すると、手元には月々十万円しか残らない。

 「いつまで働くの?」

 「早く借金を返し、フツーの仕事がしたい。ボーナスが出て、保険とか年金があるところとかで…」

 雇う側は背中に火、雇われる側も背中に火。

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