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水深3000メートル影とらえた/電波通らぬ水中での目、耳に 一九九九年十一月二十七日。小笠原諸島の北西約三百八十キロの洋上。海洋科学技術センターの探査船の超音波探知機(ソナー)は、水深三、〇〇九メートルの海底に沈む金属塊の影をはっきりとモニター画面にとらえた。 その十二日前。種子島宇宙センターから打ち上げられた純国産「H2ロケット八号機」は、打ち上げに失敗、太平洋に落下し、深海に消えた。
暗黒の深海で驚異的な威力を発揮したのが、古野電気(西宮市)の側方探査ソナー。同社のソナーは八五年には九州沖に沈んだ戦艦大和を探り当てた。発見場所の水深は三四〇メートル。今回はケタが違った。 「例えるなら富士山の頂上から海抜ゼロメートル地点の自動車一台を探すようなものです」。舶用機器事業部の西村武彦さんは説明する。 超音波。音は振動で起こり、振動数が多いほど高周波となって高い音が出る。人間の耳で聞こえる範囲を超えた高周波を超音波と呼ぶ。 今から五十三年前、この超音波を利用し、魚群探知機を発明したのが古野電気。装置は、勘が頼りだった従来の漁業の世界に革命をもたらした。 超音波は、水中を毎秒千五百メートルの速さで直進し、何かにぶつかるとまっすぐ戻る性質がある。魚探は超音波を船底から真下に発し、はね返ってくる時間から魚群の位置や大きさを割り出した。 その後、振動を起こす素材の開発は進み、感度は大幅に向上した。探査ソナーは、この技術の応用から生まれた。「魚探が線だとすれば、探査ソナーは面」と西村さん。真下方向のみに超音波を発する魚探に対し、ソナーは全方向をカバーする。 ロケット探索で活躍した探査ソナーは、扇形に超音波を発し、海底をなめるように探る。探索可能な幅は五百―四千メートル。「発見は無理」とささやかれていたエンジンを一カ月余りで探り当てた。 水中に電波は通らない。そこで超音波が重宝され、独自の発展を遂げた。陸上では見えない、聞こえない。しかし海中では目となり、耳となって活躍している。(足立 聡) |
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