昨夏の「子ども参観日」で家族を職場に招いたときの写真をパソコン画面に出す平馬さん(手前)と藤白さん=神戸市中央区京町、アイクラフト |
子どもの教育費を面倒みます―。システム保守・ソフトウエア開発のアイクラフト(神戸市中央区)は三年前、育児手当制度を設けた。
ゼロ―二十歳までを扶養する社員に、子ども一人に付き月三万円支給する。二十年間勤務し、支給を受け続ければ合計七百二十万円となる計算。一人当たりの教育費が公立学校に通った場合で八百万円弱という文部科学省の統計を参考に、金額を設定した。子どもの数に上限はない。
現在、約四十人の社員のうち八人が計十一人分を受け取っている。平馬典昭さん(32)と、藤白卓也さん(44)はともに二人の子どもを持ち、「会社の規模に比べて大きな額ではないか。ありがたい」と口をそろえる。
同社の給与体系は成果重視で、年四回基本給を改定し、賞与は最大で六カ月分の差がつく。今後も仕事の評価と直接関係しない手当は設けない方針で、子育てだけを優遇することになるが、山本裕計社長(41)は「少子化対策に企業の立場で貢献する。ソフトバンクなど大手の制度も参考にし、経済的支援に決めた」と狙いを話す。
仕事と育児の両立へ、同社はコアタイムなしの裁量労働制も役立ててもらえるという。平馬さんは、妻が体調を崩したときなどに五歳の長男を幼稚園に送ったり、平日の参観行事にも参加した。
「会社に対する負い目のような感情がなくなったのが良い点」と話す。得意先に出向いてのシステムの運用・保守を担当し帰宅は遅くなりがちだが、「自分なりにやりくりして制度を生かせば、仕事と生活にメリハリがつく」と前向きに考えている。
同社は夏には、神戸市が市内の企業に呼び掛けている「子ども参観日」も実施。家族を招いて職場を見学してもらい、神戸港を一望する事務所で花火をみながら懇親会をした。
山本社長は「制度が功を奏したのかどうかは検証していないが、社員の定着率が改善した。就職活動する学生の育児支援制度への関心も高まっている」という。
特色ある育児支援制度は、ベンチャー・中小企業の人事戦略にとっても重要になっている。
(内田尚典)
〈メモ〉
2001年設立。資本金5500万円。システム製造・運用保守が事業の柱。病院などの待ち時間を携帯電話で確認できる受付システムなども開発、販売している。東京、大阪、姫路に支店・事業所。年商2億9597万円(07年12月期)。
(2009/01/25)
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