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働き方が変わる 兵庫発 ワーク・ライフ・バランス

(18)不況下での展望は坂東眞理子氏に聞く(昭和女子大学長)/意識改革促すチャンス

「不況を、持続可能な企業に変わる好機に」と話す坂東眞理子氏=東京都世田谷区太子堂1、昭和女子大学

「不況を、持続可能な企業に変わる好機に」と話す坂東眞理子氏=東京都世田谷区太子堂1、昭和女子大学

 日本の企業の間に少しずつ浸透してきた、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和=WLB)。吹き荒れる世界不況の中で、先行きはどうなるのか。連載の終わりに、政府の男女共同参画施策づくりに携わり、WLBに関する著書もある昭和女子大学長の坂東眞理子氏(62)に聞いた。

 ―不況でWLBどころではない、という企業の声をよく聞く。

 「非正社員が職を失う一方、正社員の多くは仕事量が減っていない。サステイナブル(持続可能)な職業人になるには、仕事と充電のバランスをとらなければ燃え尽きてしまう。不況を充電の機会ととらえ、残業が多かった人の労働時間を分かち合い、男女とも安定した仕事に就けるよう意識改革すべきだ。企業は今こそ次の好況に備え、教育訓練などにも取り組んでほしい」

 ―しかし長時間労働に依存する企業では、風土はなかなか変わらない。

 「残業代の割増率アップやサービス残業の取り締まり強化など、第一に国の施策が必要。トップのコンプライアンス(法令順守)意識も欠かせない。社員をこき使って利益を上げるようでは長く続かない。経営者の意識を動かすには、『人を大切にする企業が業績を上げている』という科学的根拠が必要。そういう中小企業などを見つけ、国全体で育てることも有効だろう」

 「企業のあり方から考え直す時期。米国発の金融資本主義が、日本の資本主義もゆがめてきた。今後は、身の丈を超えて成長を追うのではなく、永続する企業を目指すべきだ。そのような企業を“ハゲタカファンド”から守る規制も必要」

 ―社員にできることは。

 「まず定時に退社するなど、新しい働き方に踏み出す強さを持つこと。仕事をきちんとやっていれば、会社側は解雇はできない」

 「結婚や子育て期などは仕事との両立が難しい時期だが、その間は低空飛行でも、働き続けること。私もそうだった。三十代半ばから、手応えのある仕事ができるようになり『これまでは投資だった』と思えた。あきらめず、将来の展望を持ち続けてほしい」


企業が本気の一歩を 〜連載を終えて〜

 「あれは子育て中の女性のための福利厚生策」

 「仕事と生活をきっちり五割ずつにする勤務体制が必要」

 「コストがかかり大企業しかできない」

 いずれも、経営者らが持つWLBに関する誤解だ。それを解きたくて一年近く、この連載を続けた。国は二〇〇七年ごろから強力に推し進めたが、少子化対策の一面ばかりが強調され、企業側の抵抗感が強いことを痛感していたからだ。

 取り上げた企業の多くも、社内の意識改革に悩んでいた。制度ができても管理職の考えが変わらず、トップが方針を打ち出した社では現場が、人事担当者が発案した社では経営陣が反発した。しかしどの社もWLBを福利厚生ではなく経営戦略としてとらえ、メリットを示すことで人心を変えていった。

 まず制度ありき、ではない。働き方を見直そうと企業側が本気の一歩を踏み出すだけでも、社内の雰囲気は変わってくる。人のやる気やアイデアを引き出せる企業こそ、長期展望を描けるのだと強く感じた。

(萩原 真)

〈メモ〉
 ばんどう・まりこ
富山県出身。東京大学卒。総理府男女共同参画室長、埼玉県副知事、在ブリスベーン総領事などを経て2007年現職。NPO法人【仕事と子育て】カウンセリングセンター理事長も務める。著書にベストセラー「女性の品格」など。

(2009/03/29)

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