第32回
家島の採石場
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社会資本の下支え役
むき出しの山肌が迫ってくる。発破を掛けて切り崩した岩の塊。その大きさに声が出る。「切り羽」という言葉が浮かぶ。
「この石を割るんですわ」。家島石材採掘協同組合副理事長の熊野哲也さん(59)が事もなげにいう。重機で砕いた後、選別して石材にする。「巨大石材工場」といった趣だ。
瀬戸内海に浮かぶ家島諸島。その一つ、男たん鹿が島を訪ねた。長年、石を採ってきた結果、緑の島影は減り、花こう岩が陽光に白く輝いている。採石は好不況の波が大きく、阪神・淡路大震災の復旧工事、関西空港2期、神戸空港など大規模事業の後は厳しい状況が続く。ここへきて神戸港整備の需要が出てきたというが、公共事業抑制の中、転換点にあるのは間違いない。
とはいえ、大阪湾岸のほとんどの埋め立てにかかわったというだけに、そのブランド力には定評がある。まさに社会資本の下支え役なのだ。綱本武雄さんのイラストにあるように、採石場の景色には独特の魅力がある。ここで今、石を切り出しているという、強烈な現場感を放っている。
重厚長大、軽薄短小、いずれを問わず、生産現場には、独特の熱気がある。自然が生んだ素材に人間が働きかける。知恵を形に変え、新しい価値を創造する。ものづくりの奥は深い。
綱本さんと組んで県内各地を回ってきた。いいモノを作ろうと情熱を傾ける大勢の方々と出会った。地域のものづくりの可能性は無限だとあらためて思う。
=おわり=
(2010/10/14)
◆家島の採石業 歴史は古く、江戸時代に男鹿島の石材を大阪に売ったのが始まりという。近代化に伴う社会資本整備とともに、産地の知名度が高くなった。採石は男鹿島、西島の2島で行う。男鹿島は主に花こう岩質、西島は安山岩質が特徴だ。
採石場の見学は原則として受け入れていないが、家島全体の観光については家島観光事業組合TEL079・325・8777
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