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集落再起へ 岩手・宮城内陸地震2年

(下)苦難の生業再建支援、励ましを力に

荒砥沢ダムの地滑り現場。国内外の地震研究者らが調査に訪れる=9日、宮城県栗原市栗駒

荒砥沢ダムの地滑り現場。国内外の地震研究者らが調査に訪れる=9日、宮城県栗原市栗駒

 野鳥のさえずりが響く山間を抜ける。宮城県栗原市の栗駒山中腹に位置する耕英地区。曲がりくねった道路沿いに家や畑が点在する。土砂崩れで避難を余儀なくされた住民らは7月、全員が集落に戻ることを決めた。

 だが、苦難が待っていた。わき水や温泉の水脈が震災で変わった。旅館に、農家に、発祥で知られるイワナの養殖に影響が広がる。

 全国初のイワナ養魚場の2代目数又貞男さん(58)は、水不足から養殖量を半減せざるを得なかった。出荷先の地元旅館も軒並み閉鎖し、「(売り上げが減り)帳簿をつけるのが怖くなった」と嘆く。

 それでも思わぬ支援や激励に支えられた。被災して間もなく、取引のなかった地元のスーパーに出荷が決まった。店長の後藤千尋さん(43)は、尼崎市の出身。阪神・淡路大震災で自宅が半壊し、「皆で力を合わせれば、必ず立ち直れる」。そう励ましてくれた。

 養魚場内の食堂に置かれた「感想帳」に、西宮市の女性が書き記していた。「地震の跡をたどって来ました。私も震災で家をなくしましたが、災難を乗り越えて卒寿に至りました。おいしい料理に感謝」

 被災地では「被災者生活再建支援法」に複雑な思いが広がる。阪神・淡路大震災を教訓に制度化され、今回の地震は、住宅建設に支援金が使える初のケースとなった。だが、半壊や一部損壊は対象外。行政区長の金沢大樹さん(67)は「『修理代は変わらないのに、隣は全壊と認められ、わが家は…』と住民間に不協和音が生まれた」と話す。

 農業大場浩徳さん(49)は、住宅再建に限定した支給基準にも疑問を投げ掛ける。「地震で家を追われ、仕事が制限されたのに、なぜ生業への支援がないのか」。市は間接的な支援を模索中で、佐藤勇市長は「市の温泉水や上水を安価で提供するなど、地域経済を立て直す柔軟な施策を考えたい」と強調した。

 国内最大級の地滑りが起きた栗駒山の荒砥沢(あらとざわ)ダム。市は地震のつめ跡を観光資源に生まれ変わらせる構想も描く。

 近くで温泉宿を営む大場武雄さん(72)に連れられ、山の頂上付近から現場を眺めた。崩落でできた落差約150メートルのがけが揺れの激しさを物語る。崩落した土砂は7千万立方メートル。大場さんは「爆弾を落としたみたいに砂煙と水煙が空まであがった」と振り返りつつ、希望の言葉を続けた。

 「震災は住民の支え合い、資源の活用など村おこしの原点を見直す機会になった。過疎の被災地とはいえ、これから発展する可能性はありますよ」

(災害特報班・安藤文暁)

(2010/06/15)


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