記事の見出しへ

記事の検索へ

東日本大震災

被災地のがれき受け入れ 分担処理に自治体苦悩 

記事を印刷
写真

被災地には津波の被災家屋やがれきが大量に残る=9月9日、宮城県気仙沼市

 東日本大震災から7カ月余り。被災地のがれき処理が進んでいない。現地の処理施設だけではさばけないため、国は全国の自治体による分担処理を計画したが、福島第1原発事故で拡散した放射性物質を懸念する声などで頓挫。被災地は早期復興へ分担を切望するが、住民らの不安も無視できず、阪神・淡路大震災を経験した兵庫県内の自治体も受け入れに踏み切れずにいる。

 阪神・淡路大震災では、倒壊家屋など約1400万トンのがれきが発生。横浜市などが分担処理を担い、焼却や埋め立てにより約3年で処理した。

 東日本大震災で、岩手、宮城、福島の3県で発生したがれきは推計2300万トン。一時保管する仮置き場への搬入率は59%だが、焼却などの処理はほとんど手つかずだ。

 岩手県は435万トンで、同県の被災市町村が通常出すごみの10年分に相当。担当者は「既存の処理施設では対応できない」と新設を急ぐが、稼働は来年3月の見込み。通常の23年分に当たる1500万トンが出た宮城県でも既存施設では1割しか処理できないという。

 国は4月、全国の自治体にがれきの受け入れを打診。兵庫県内でも焼却炉を持つ市町や一部事務組合の大半が「受け入れ可能」と応じた。7月には井戸敏三知事が、近畿の自治体でつくる埋め立て場「大阪湾広域臨海環境整備センター」での受け入れに前向きな姿勢を示した。

 しかし、市民らから放射性物質の拡散を懸念する反対意見が続出。兵庫県には知事発言後、1カ月で約400件が寄せられた。年間約6万トンを受け入れ可能とした神戸市も「身動きが取れない状態」といい、丹波市は受け入れ方針を転換した。

 自治体は埋め立て場への放射性物質の影響も危惧する。神戸市は北区の埋め立て場を墓園として活用する方針で、大阪湾広域臨海環境整備センターも企業などへの土地売却を計画。担当者は「たとえ基準値以下でも、放射性物質が付着した灰を埋めた土地を活用できるのか」と懸念する。

 国の計画では、2014年3月までに処分を終えるとしているが、実現は困難な情勢だ。岩手県は焼却灰の放射性物質濃度を独自に調べ、基準値を下回ることを確認。国も安全性を認めたが、受け入れを決めたのは東京都のみ。同県の担当者は「安全が確認されたのに受け入れが進まないのは風評被害だ。早期復興には全国での分担処理が欠かせない」と切望する。

 山内知也・神戸大大学院教授(放射線計測学)の話 がれきの放射性物質は燃やすことで濃度が高まる。焼却で数値がどのように変わるかなど詳細が明らかになった段階で受け入れの可否を検討すべきだ。

(災害特報班・上田勇紀)

   ◆   ◆

 がれきの分担処理 国は、福島県で発生したがれきは同県内で処理し、宮城、岩手県については県外で分担処理を進める方針。焼却灰の放射性セシウム濃度が1キログラムあたり8千ベクレル以下なら一般廃棄物と同様に埋め立て可能としている。

【特集】東日本大震災

(2011/10/14 08:10)

  • 神戸洋菓子職人
  • Live! VISSEL
  • 兵庫の高校野球
  • 駅伝2011
  • いまもえjp
  • JAZZ
▲このページの先頭へ