風格が漂い、チーム内でもひときわ存在感が光る明石の前田勝宏投手=明石市、明石球場(撮影・大森 武) |
「1勝できなかったことが、ずっと心に引っ掛かってる」。明石レッドソルジャーズの豪腕、前田勝宏(37)。世界各地を渡り歩いたリーグ最年長選手は「NPB(日本プロ野球組織)で勝利」という夢を追い、再び地元兵庫に戻ってきた。
神戸弘陵高から1993年、ドラフト2位で西武入りも、パンチパーマに金髪、管理野球への反発…。話題になるのは問題児として。150キロ超の速球を誇るあまり、「速い球を投げることが勝つこと」。そう信じ切っていた。
結局、制球難での自滅が続き、3年間で勝ち星なし。今度は米ヤンキースと契約したが、メジャーには上がれなかった。その後は再び国内の中日に戻り、台湾、イタリア、中国と海外のリーグを1年ごとに転々。「もう終わりかな、とも思ったが、とにかく野球を続けたかった」
アマ球界を経て昨年は四国・九州アイランドリーグの長崎でプレー。流浪の旅を続けていた前田に、地元の明石レッドソルジャーズから声が掛かった。「(神戸に住む)嫁にも『子どものために帰ってこい』と言われていたし」。2人の息子に勇姿を見せられる―。決断は難しくはなかった。
世界を巡った経験は前田を変えた。一回り以上若い選手に声を掛け、ファンの声援に笑顔で応える。自分以外に興味のなかった男が「チームでの役割を考えるようになった」。一方、「ここで満足するような選手はいらない」と、チームメートへの視線は厳しい。
生活費は美容師の妻の収入と貯金の切り崩しで賄う日々。それでも、前田は笑い飛ばす。「中国では年収16万円。今の方が恵まれてる」
(山本哲志)
(2009/03/20)
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