車いす陸上短距離 永尾嘉章さん
アイススレッジホッケー 円尾智彦さん
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この10年ほどで競技性がぐっと高まった障害者スポーツ。車いすマラソンならマラソンをしのぐスピード感、そして障害と付き合いながら勝負するひたむきさが多くの人を魅了する。2008年のパラリンピック北京大会に東京に次ぐ14人を送るなど、盛んな地域として知られる兵庫。車いす陸上の永尾嘉章選手と、アイススレッジホッケーの円尾智彦選手に魅力や現状を語ってもらい、12月のアジアパラ競技大会を前に観戦のコツも指南してもらった。(大城周子、撮影・内田世紀)
ながお・よしふみ三木市出身。5歳のときポリオを発症し、両脚が不自由になる。車いす陸上・短距離の第一人者で、夏季パラリンピックには6大会連続出場中。2004年アテネ大会では日本選手団主将を務め、1600メートルリレーで銅メダルを獲得した。神戸市西区在住の47歳。 |
まるお・ともひこ兵庫県太子町出身。18歳のとき、交通事故で左脚を切断した。2008年にアイススレッジホッケーを始め、10年冬季パラリンピック・バンクーバー大会で日本代表に初選出。最年長FWとして3試合に出場し、銀メダル獲得に貢献した。神戸市中央区在住の42歳。 |
スピード感ある試合展開魅力/チームワークや駆け引き注目
―障害者スポーツならではの魅力は。
永尾 車いすもスレッジ(スケートの刃のついたそり)も、目線の高さが地面から1メートルもないから、体感スピードが全然違う。車やバイクで時速30、40キロは遅く感じるが、競技用車いすでの40キロは怖い。特に、短距離種目は一瞬で勝負が決まる。ミスできない状況でプレーするのが好き。
円尾 アイススレッジホッケーもそう。パックが目の高さで飛んでくる。しかも、両手に持ったスティックでそりをこいで、パックを扱って、相手をよけてと、いろんな動作を同時にやらないといけないのが魅力。
―普段のトレーニングは。
円尾 週末に所属チームのある長野に通うほかは、基本的にウエート。海外の選手には、両脚がなくても体重が120キロある人もいる。負けない“鎧(よろい)”を着けないと。
永尾 車いす競技も、上半身全体を鍛えないとできない。ひたすら腕を使うイメージかもしれないが、胸筋や背筋、腹筋とすべてを使う。あとは体幹。力の源だから意識的に鍛える。
―パラリンピックの獲得メダル数などでみると、この数年で世界との差は広がっている。
永尾 世界のレベルが上がっている。僕の場合、北京では3種目に出場して1種目も決勝に進めなかった。
円尾 アイススレッジホッケー日本代表は(10年)バンクーバー大会で初めてメダルを取った。チームワークがどの国よりもよかった。ただ、世界との差が埋まったかという話とは別。米国やカナダなど、小さいころから競技に慣れ親しんでいる国には、技術的にはまだまだ及ばない。
永尾 お金の問題は切実。日の丸を着けて出場する大会でも参加費がいるし、道具もすべてオーダーで費用がかかる。競技用の車いすだと、1台60万円はする。
円尾 趣味のレベルではできない。僕らも、スレッジのバゲットシート(座る部分)だけで10万円。防具も全部そろえると最低30万〜40万円はかかる。この厳しいご時世でスポンサーについてもらうには、企業にとってプラスになることを、競技者側からも提供していかないと。
永尾 宣伝効果とか、社会貢献という視点で互いに絡むことができればいい。そのためにも、まずは認知度を高めないと。理解を深めてもらうため、僕は小中学校などでの講演や体験会などで積極的に話している。
円尾 僕は、障害のある子を対象とした教室開催を目指し、NPO法人の設立を進めている。全体のレベルが向上して、注目されて、といい循環になればと思う。
―観戦の楽しみ方は。
円尾 障害者スポーツはほとんどジャンプがなく、平面で2次元の動き。その中で点を取るために、どんな駆け引きやチームワークが働くのか注目してほしい。
永尾 車いす陸上の場合は、単純にそのスピードを感じ取ってもらえれば。短距離だとゴール間際は時速35、36キロは出る。中長距離なら、位置取りや自転車競技のようなローテーション、ゴール前の“まくり”は見ていて面白いと思う。
円尾 障害者スポーツもポイントさえ分かれば楽しい。いろんな大会に足を運び、実際目にしてほしい。
(2010/11/09)
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