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正平調

2011/07/30

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歌が胸に染み入るときがある。メロディーに耳を奪われる。歌詞の意味がひしひしと伝わる。歌の神様が降りてきた瞬間かもしれない◆16年前の震災でもそんな体験をした人が多かった。ある避難所で「故郷」を歌ったら、中年男性が声を上げて泣きだした。母親と歌った幼い日がよみがえったという。特に童謡には、心の奥の感情を呼び起こす力があるようだ◆この歌にも、そんな力が宿っているのだろうか。神戸の小学校音楽教諭、臼井真さん(50)が作詞・作曲した合唱曲「しあわせ運べるように」。震災直後から神戸で歌われ、イランや中国などの災害被災地でも翻訳され歌い継がれている◆臼井さんの自宅は全壊した。この歌は、親類宅に避難していたときに書き上げた。自然に歌詞がわき、メロディーが舞い降り、10分ほどで完成したという◆東日本大震災の後、臼井さんは歌詞の中にある「神戸」を「ふるさと」に変えた。東北などの被災地でも歌ってほしい。そう願ってのことだ。その歌を、きょう午後、芦屋市のルナホールで、東芦屋町の子どもたちと地域の住民が披露する。指揮は臼井さん自身である◆〈地震にも負けない/強い心を持って/亡くなった方々のぶんも/毎日を大切に生きてゆこう〉。子どもたちが歌えば、なぜか歌詞がより深く胸に響く。みんなで幸せを運ぼう。そんな気持ちになる。きっと歌の神様が、東北にその思いを届けてくれる。

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