学生時代や転勤先で家賃の振り込みなどに作った口座がそのまま放置されている。銀行に預けたまま10年以上もお金の出し入れがないこうした口座は「休眠預金」と呼ばれる。年間で800億円ほども発生しているという。
このお金を起業やNPO支援の資金に活用できないかと、政府が検討を始めた。東日本大震災の被災地復興に役立てるのも目的とされている。
「少額なので復興に役立ててもらえばいい」との声も聞かれる一方で、金融業界からは「預金者の了解を得ないまま、第三者が利用することは問題だ」などと反発の声が上がっている。
政府は4月ごろをめどに活用に向けた具体的な枠組みをまとめ、預金者の理解を得たい考えだ。だがその前に総額でどれだけあるのか、実態を国民に説明しなければならない。
10年以上取引がない休眠預金のうち、残高が1万円以上の場合は、金融機関が預金者の届け出住所に通知する。引っ越しなどで連絡が取れない場合はその時点から休眠状態となる。1万円未満なら通知されず自動的に休眠扱いされる。
それらは現金自動預払機(ATM)では払い戻しできない。通帳が盗まれた恐れもあるとして、大手銀行は電話での問い合わせにも基本的に回答しない。
金融業界は、10年以上たっていても預金者から要請があればいつでも払い戻すと言う。しかし、そのお金は「収益」として計上されている。
口座を作ったことを忘れてしまうケースや、へそくりの口座を作った人が亡くなるケースなどもあり、銀行などの財産の形で毎年増え続けている。
中には金額が大きい休眠預金もあるだろう。古川元久国家戦略担当相は総額や取り扱いなどを調査するとしている。金融業界は情報を開示し、利用者の疑問に対して誠実に答える義務がある。
休眠預金をゼロにするのは困難だろう。世界共通の課題でもある。
外国では基金などに移し社会的事業に役立てようとする動きが広がっている。預金者が口座の有無などを照会できるサイトや休眠預金を一括管理するシステムなどが設けられているという。そうすることで金融機関が休眠預金を管理する負担の軽減にもつながるとされる。
それを活用するとなると、どの程度の休眠期間の口座を対象にするのか、どんな仕組みにするかなど、問題点は多い。政府は海外の事例なども国民に詳しく伝え、課題の洗い出しを急ぐべきだ。
(2012/02/23 10:06)
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