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自然楽しむ旅提案 ■立ち並ぶ民宿
台湾中部の中心都市・台中市の南東約四十キロにある南投県桃米村。人口約千二百人の小さな村には今、週末になると多くの観光客が訪れる。 地震で約六割の住宅が全半壊した。農業の衰退で地域が弱体化していたところに、地震が追い打ちをかけた。住民が話し合いを重ね、地域再生の手段として選んだのが、豊かな自然を都会の人々に体感してもらう「エコツーリズム」だった。 村の中は、「民宿」の看板が目立つ。現在、その数は十三軒。自然を生かした庭や池、あずまやを配置するなど、それぞれ工夫をこらす。 全壊した自宅跡に民宿兼自宅を建設し、夫と二人で経営する味珠禎さん(39)は「素人なので大変だけれど、やりがいがある」と笑顔を見せる。 村内には、希少種のカエルや昆虫を観察できる池や公園もある。観光客を案内するのは、訓練を積んできた地元住民だ。民宿経営などで得た収益の一部を村の公共基金に回し、地域全体を支える仕組みもある。 これらの取り組みを支援してきたのが、NPO「新故郷文教基金会」。まちづくりをアドバイスし、希少動植物を紹介する冊子などを発行。阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた神戸市長田区の野田北部地区と交流もする。同地区の教会にあった紙の建築物「ペーパードームたかとり」を桃米村に移築中で、来年九月、村の交流拠点としてオープンする。 ただ、急激な変化を懸念する声もある。台湾大学の陳亮全教授(59)は「一気に観光地化が進むと、環境への影響も出る。時間をかけ、持続可能なまちづくりを進める必要がある」と話す。 断層残し学習施設 ■観光ルートに
被災地には二〇〇四年、国立自然科学博物館の分館として、震災の教訓を伝える「921地震教育園区」(台中県霧峰郷)がオープンした。 地震前には中学校があり、運動場に現れた断層を保存して展示している。全壊した校舎も来年には公開予定で、現在、工事が進んでいる。 観光による復興に力を入れる被災地で、多くの人を引きつける施設の一つ。地震被害が大きかった台湾中西部には、台湾随一の観光地である湖「日月潭」などがあり、そうした名所と併せて見学に訪れる人も多い。 「修学旅行や団体旅行の見学ルートになってきている」と、日本語解説員の黄嘉慧さん。十三人の職員のほか、九十人のボランティアが運営を支えている。 働く高齢者見学者接待 仮設住宅 ■平均年齢75歳
桃米村と同じ南投県の埔里鎮(鎮は行政単位)。ここにある「菩提長青村」は、国内外の研究者らに注目されている。 ここは実際の「村」ではなく、震災後にできた仮設住宅団地。現在、被災者向け住宅から、共用設備を備えた高齢者住宅へと様相を変え、約三十人が暮らす。平均年齢は七十五歳。村長の陳芳姿さん(44)をはじめ、多くのボランティアが支援体制を組んでいる。 同村の特徴は、入居している高齢者が働き手でもあること。住宅そばの畑で野菜を栽培したり、手作りの民芸品を販売したりしている。住宅の棟と棟の間にはアーケードがあり、見学者らがお茶を飲める喫茶コーナーになっている。 住宅内には、食堂や図書室、仏堂などもある。「畑仕事も食事もカラオケも、みんなで一緒にできるのが楽しい」と、入居者の陳碧雲さん(80)。陳村長は「高齢者には、周囲で人の声が聞こえる環境が望ましい。見学者の接待も生きがいになっている」と話す。 しかし、村はあくまでも仮設住宅だ。高齢社会のコミュニティーを考える事例として、特別に設置が許されているのはあと三年間。政府関係者は「村の考え方は素晴らしいが、建物としては違法」と、課題を指摘する。
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(掲載日:2006/11/26) |
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