康子記者磯辺康子記者の見聞記

車がなくちゃ(1)悪夢の車両管理局

 アメリカに住み始めて、まず訪ねるお役所といえば、DMV(Department of Motor Vehicles=車両管理局)。

 運転免許を取るための試験を受けに行くのだが、運転をしない人も、ここで写真付き身分証明書を申請する。酒を買ったり、クレジットカードを使ったりする時に提示を求められることが多いため、身分証明書は生活必需品なのだ。

あめりか私描  このDMV、愛想が悪く、待たされる役所として有名。免許の筆記試験に合格し、実技試験の予約を取ろうとした時は「一カ月先よ」とつれなく言われた。

 試験には自分で車を持ち込むので、一カ月後、レンタカーで試験に出向くと、職員のお姉さんは「カリフォルニア州の免許を持っている人と一緒に来ないとダメよ」という。

 そんなこと、説明されなかった―とぼう然。

 「国際免許証はもっているから、ここまで運転してくるのは問題ない。今日受験できないと困る」としつこく食い下がると、お姉さんの態度はやや軟化し、ドアの方をあごで示して「五分だけ待ってあげるわ」と言う。要するに、免許を持っている人を探してこいというのだ。

 何人かに声をかけたが、断られた。がっくりしてお姉さんのところに戻る。「次の予約を取るべきね」と、にこりともしない。

 そして一カ月後。今度はカリフォルニア州の免許を持つ友人を連れていったが、職員はその友人に目もくれず、国際免許の提示だけであっさり受験できた。

 私の周囲だけでも、DMVにまつわるこうした体験談は数しれず。この役所を訪ねるといつも、だれかがカッカと怒っている。

    ◇

 「アメリカに行きたい」。私も思った。多くの若者もそう思っている。なぜ引かれるのか。わずか一年だがカリフォルニア州ロサンゼルスに住み、人々と触れ合ううち、少しその理由が見えたような気がする。

 あくまでも「私描」。あくまでも断片。いいも悪いも織り交ぜて、この国の素顔を書いてみたい。

掲載日:1998/10/27


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