![]() アメリカはとてつもなく広い。面積は日本の二十六倍。カリフォルニア州だけで日本より大きい。 地下鉄やタクシーなどの公共交通機関が発達しているニューヨークなどは別にして、この広い国で暮らすには車は必需品だ。ロサンゼルスには、市内を網羅する鉄道はない。バスはあるものの、殺人が日常茶飯事のこの町で、日が暮れてからバスに乗るのは何とも物騒。タクシーも電話で呼ばなければ来てくれない。
大学生は、よほどの金持ちを除き、ほとんどが中古車を買う。新聞、インターネット、スーパーの掲示板にはいつも、膨大な「車売ります」のお知らせがあり、それを見て探す人が多い。日本食のスーパーに行けば、「帰国のため車売りたし!」といった日本人の広告が並ぶ。 人気はやはり日本車。私も、中古車ディーラーでトヨタ車を買った。八八年製で約五千ドル。走行距離はなんと約十六万キロ。日本なら廃車同然だが、アメリカではまだまだ引く手あまたで、この高値となる。なにせ、十五年、二十年走っている車は珍しくないのだ。 一年間取材や旅行で走り回り、さて帰国セール。ディーラーに売ると買いたたかれるので、「車売ります/三千八百ドル」のビラを大学やスーパーに張って回った。二日間で電話が十本ほど。「人種のサラダボウル」ロサンゼルスだけあって、電話の主は米国人、中国人、アジア出身らしき人など多彩。相手は車を運転し、「修理はしたか」「いくらで買ったか」といった質問を投げかけてきて、値段交渉に入る。この駆け引きが、なかなか面白い。 車を買ったのは、米国人の女子大生。「機械に弱いから」と、一緒に来たボーイフレンドが車をチェックした。「現金一括払い」というこちらの条件を出し、三百ドル値引きした。負け過ぎたかもしれないが、まぁ、よしとしよう。 アメリカでは、買ったときより高い値段で売るつわものもいる。彼女は、あの車をいくらで売るだろうか。 掲載日:1998/10/28 元のページに戻るにはブラウザの【戻る】ボタンを押してください。 |