康子記者磯辺康子記者の見聞記

車がなくちゃ(3)駐車するにも「危機管理」

 車を持てば、駐車場がいる。

 広大なアメリカのこと、地価の高いロサンゼルスでも、日本に比べれば事情はいい。アパートの家賃は、最初から駐車場込みのところが多い。私が借りたアパートには、一軒につき二台分ついていた。夫婦でも一台ずつ持つのが当然だから、珍しいことではない。  しかし、増え続ける車の数に街の駐車場スペースが追いつかなくなっているのも事実だ。

駐車場  研究員として籍を置いていたUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)には、約二万千台分の駐車場があった。しかし、学生だけで三万五千人の「街」のようなキャンパスには、それでも足りない。昼ごろに行くと、駐車場ビルの最上階まで上がっても車がぎっしり。一階の教授用のスペースはがらんとしているが、止めると即、罰金。駐車許可証(有料)は身分や利用時間帯で細分化され、取り締まり隊が頻繁に回っている。

 かくして、ビルの中をグルグル回りながら、出て行く車を探す争奪戦が繰り広げられる。歩いている人を見つけるなり、「出て行くの?」と声をかける。答えが「Yes」ならラッキー。大学だけでなく、ショッピングセンターでも同じ光景を見かける。

 この大学構内の駐車場ビル、実は犯罪の死角でもある。午後五時を過ぎると急にガランとする。何人かの教授や学生から「夜は一人で駐車場に行かないように」と忠告された。過去に殺人があり、レイプも少なくない。昼間、最上階に車を止めた時は、夕方までに人通りのある低層階に車を移すほうが無難だ。

 大学には、電話をすれば駐車場まで付き添ってくれる「エスコート・サービス」も。車ひとつ止めるにも、「危機管理」のいる国である。

掲載日:1998/10/29


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