日々小論

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 東日本大震災から9年になる。関連死を含む死者・行方不明者は2万2千人を超え、今なお5万人近くが避難を強いられているが、被災した人たちの日常を知る機会は随分減った。

 そんな中、神戸市立兵庫図書館で「応援展示」の準備が進む。被災地の子どもに本を届ける「3・11絵本プロジェクトいわて」の現状を紹介し、東日本や防災に関する本も並べる。今年で4回目。新型肺炎に伴う休館が終わり次第展示を始め、1カ月ほど続ける予定という。

 活動は岩手県在住の絵本編集者、末盛千枝子さんが呼び掛けて始まった。全国から本が寄せられ、地元のボランティアらが仕分けや配達に尽力し、これまで12万冊以上を手渡してきた。

 兵庫図書館での取り組みは、館長の垰下(たおした)憲司さんらが被災地で暮らしていた知人を通じて関係者と出会ったことからスタート。現地の図書館再開に向けた作業を手伝うなど交流を重ね、この2月にも同県陸前高田市や大船渡市に足を運んだ。

 本の力を信じて地域再生に汗を流す人々を、阪神・淡路大震災を体験した街から、本を通じて支援する。「各地の普通の人が自分にできることを探し、関わってきた。今回の展示が、私たちにできることを考えるきっかけになれば」と垰下さん。

 時を同じくして、「瓦礫(がれき)から本を生む」(河出書房新社)という文庫も刊行された。仙台市で小さな出版社「荒(あら)蝦夷(えみし)」を営み、神戸ともゆかりの深い土方(ひじかた)正志さんが、震災以降の苦闘や本を介したさまざまな出会いをつづった前著に加筆した。

 復興や再建といった言葉の前に「まずは、東北を知って欲しい」とある。知らずして「復」も「再」もない、と。そうだ、と歳月を経て改めて思う。

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